2連覇が懸かる新大関照ノ富士(23=伊勢ケ浜)が、大関初白星を挙げた。西前頭2枚目の碧山(29)を上手投げで下した。昇進から約1カ月半、多忙な日々を過ごしてきたが、重圧をはねのけて史上9人目の新大関優勝に向けて好スタートを切った。
ヒヤヒヤの大関初日だった。照ノ富士は「立ち合いで当たれなかった。あと、足も滑ったり、バタバタした」と反省を口にした。立ち合いでは碧山に押され、前に出ようとすると滑る土俵に足を取られた。「あそこで引かれてたら落ちてたな」。最後は豪快な上手投げで決めたが「まわし取る前はきつかったっすね」と、笑みはなかった。
夏場所で初優勝と大関昇進を決め、環境は激変した。関係者との付き合いも増え、休みもほとんどなかった。大阪・堺合宿中には蜂窩(ほうか)織炎で稽古を休むなどストレスもたまった。それでも「大変だけど、仕事だから。ありがたい。応援してくれる人がいてこそ頑張れる…なんか、恩返しができるのかな」。嫌な顔ひとつしなかった。
「あんまり変わんない」「普通」と繰り返す陰では、付け人が気を使っていた。すべての予定を把握する間垣部屋時代からの兄弟子、三段目の駿馬(33)は「遊びに行ったり、息抜きは任せてます」と、羽を伸ばせるよう配慮した。その分、治療などは相談して日程を決め、多忙の中でも時間を確保。「これまでで一番長かったな」(照ノ富士)という1カ月半は、多くの人に支えられていた。
9人目の新大関優勝に向けて白星スタートを切った。06年夏場所の白鵬以来、9年ぶりの快挙を狙えるのは1人のみ。大関としての責任を「優勝争いすること」と言う照ノ富士の戦いは、始まったばかりだ。【桑原亮】

