日本相撲協会は26日、名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)の新番付を発表した。新大関高安(27=田子ノ浦)はさらなる上の地位となる横綱昇進への意欲を隠さず、史上8人、1場所15日制が定着した49年夏場所以降では5人しかいない新大関優勝への目標を堂々と語った。また、近隣住民との交流会では兄弟子の横綱稀勢の里とともに「同部屋優勝決定戦」についての思いを語り合った。

 新大関にかかる期待も重圧も、意に介さなかった。「そういうのもまた1つの醍醐味(だいごみ)。味わいながら、楽しみながらやりたい」。高安の心には、緊張感すらのみ込んでしまうたくましさがあった。

 また1つ、しこ名が大きくなった新番付を眺めた。あと上には横綱しかない。「ここから上を目指すのであれば、まず優勝が必然になってくる。15日間堂々と取って全勝したい」。臆することなく言ってのけた。

 新大関の優勝は史上8人。15日制定着後は5人だけで、平成以降は栃東と白鵬しかいない。その関門の高さも、やる気を駆り立てる材料でしかなかった。会見後に近隣住民約230人と触れ合った交流会では横綱稀勢の里の隣の席で、旗手を務めた優勝パレードを「今度は自分が優勝して乗りたい気持ちが強くなった」と言い、声が裏返った大関の昇進伝達式には「次はちゃんと言いたい」と、残すはあと1度しかない伝達式を思い描いて宣言した。

 そのためには兄弟子をも超える必要がある。広がる夢は97年九州の貴ノ浪-貴乃花(二子山)以来20年ぶりの同部屋優勝決定戦だ。稀勢の里が初めて「一生懸命やって、そうなれば非常にうれしいこと。やることをしっかりやる、ということだけを考えたその先に、そういうものが見えてくる」と言及し、高安も「もしそういう機会があれば、全力で行きたい」と言った。

 「すごいと思われる大関になりたい」。何事も最初が肝心。新大関として臨む場所で、その衝撃を植え付けたい。【今村健人】