大関とりへ黄信号だ。関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)が、大関豪栄道にはたき込みで敗れた。連敗は昨年秋場所5日目以来で、11日目の横綱白鵬戦に続いて上位の壁に屈し8勝4敗。昇進目安は10勝以上で、13日目は合い口の悪い大関高安に挑む。

上位の壁は厚い。敗れた貴景勝は両頬を膨らませ、口をすぼめた。「明日に向かってやるとしか言いようがない」。豪栄道には1月の初場所千秋楽で敗れ、同時に大関昇進も見送られた。リベンジを期したが4敗目。10勝以上が昇進目安となるが「千秋楽までは考えられない」と、目の前の一番だけに目を向けた。

取組を見守った親方衆は、上位陣の対応力に屈したと口をそろえた。立ち合いで突き放せない連日の取組に「そんなに甘くない。上位が慣れてきたんじゃないか」と八角理事長(元横綱北勝海)。審判長として土俵下から目を光らせた高田川親方(元関脇安芸乃島)も「上位も研究していますから」と言った。

3連敗は避けたい。連敗は昨年秋場所5日目以来、189日ぶり。師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は「頭の切り替えがとてつもなく早い」と評価する。押し相撲はリズムが狂うと、大型連敗に陥りやすいと言われる中、けがから復帰した18年夏場所以降は、最長3連敗にとどめている。13日目は過去2勝6敗の高安。3連敗中と分が悪く、昇進へ黄信号がともるが「試練じゃない。幸せです。試練だと思うから試練」と逆境を歓迎する。【佐藤礼征】