西十両11枚目の安美錦(40=伊勢ケ浜)が、史上8人目となる節目の通算900勝に到達し、8勝7敗で勝ち越しを決めた。

立ち合いで頭からぶつかると、千代の海の上体を起こし、慌てて突っ込んできたところを、冷静にはたき込んだ。「当たって、一歩だけ踏み込んでいこうと思った。冷静に、しっかりと相撲を取れた」と、この日の取組を振り返った。

4場所ぶりの勝ち越しとなったが、今場所は初日から4連敗した。「勝ち方を忘れていた。どうしやって勝つか分からない状況で土俵に上がって、相撲が生き返ってきた。(今場所が)最後になるかもしれないと思っていた。もうダメかな、という中で、最後まで相撲を取れたのはよかった」と、冷静に振り返った。今場所は、6勝未満なら幕下陥落が濃厚という状況で迎え「最後の土俵になる予感がしていた」という。引退について考えるのは「今に始まったことじゃない。負けたらやめるというシンプルな考え」と明かす。それでも「今場所は勝っても負けて満足な、中身のある相撲を取れた」と、気力も充実したまま取り切った。

これまで白鵬、魁皇、千代の富士、大潮、北の湖、旭天鵬、若の里しか達成していない、通算900勝に到達した。「積み重ねだからね。けがなく終わってよかった」と、かみしめた。次の目標を問われると「ないよ。どんな記録があるかも分からないし」と、笑いながら話していた。