日刊スポーツが行った人気力士アンケート「第8回大相撲総選挙」は、東前頭5枚目妙義龍(32=境川)が初めて1位を獲得した。総数7万1671票のうち、4562票を獲得。第1回大会から7連覇を果たし、今年1月に引退した元横綱稀勢の里(現荒磯親方)と同じ86年生まれ。3位栃煌山、4位徳勝龍も同学年で「稀勢の里世代」が存在感を放つ結果となった。2位には夏場所が新大関だった貴景勝が入った。

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クールな妙義龍が表情を崩して首をかしげる。「なんで俺なん?」と5回も繰り返した。順位を押し上げたのは、4000票近いはがきでの票数だ。「人生でもらった年賀状でも3000枚はもらってないよ」と苦笑い。師匠の境川親方(元小結両国)は弟子の快挙に「えっ!?」と驚きながらも「なんでも1番というのは、いいこっちゃ」と屈託ない笑顔を見せた。

度重なるけがを乗り越え、今年1月の初場所では19場所ぶりに三役復帰を果たした。「自分の相撲を信じてやっている中で、見てくれている人は見てくれている。お客さんからの評価として素直にうれしい」。

肉体美を支持する女性の声が多かった。「おなかのハリのラインが美しく、黄金比だと思う」(30代女性)「均整の取れた筋肉」(50代女性)。15年に「トクホ」こと特定保健用食品のCMに出演した際、体重150キロ台ながら体脂肪22%の力士として紹介され、筋肉質な「アスリート力士」として注目を浴びた。最近、体脂肪率を計測していないが、体重は当時より10キロ増加したという。「継続してトレーニングしているのであの時より(体脂肪率は)低いと思う」。年齢を重ねても、体にストイックな姿勢は変わらない。

夏場所では6勝9敗の星数ながら鶴竜から金星を獲得。千秋楽ではこれより三役で相撲を取った。「負け越したけど少しはちょっとは存在感を出せた。(今年中に)もう1回三役戻りたい」。世代交代が取り沙汰される最近の大相撲。混戦を制した新王者が、総選挙に続き若手の壁になる。【佐藤礼征】

◆妙義龍泰成(みょうぎりゅう・やすなり)本名・宮本泰成。1986年(昭61)10月22日、兵庫県高砂市生まれ。埼玉栄高で豪栄道と同期。日体大4年時に国体など5冠を達成した。09年夏場所で、幕下15枚目格付け出しデビュー。10年初場所新十両、11年九州場所新入幕。403勝349敗60休。186センチ、155キロ。