先場所で初優勝した東前頭筆頭の朝乃山(25=高砂)が、同部屋の同期で幕下の玉木に力をもらい、会心の白星を挙げた。

けんか四つの前頭正代に差し負け、左四つの不慣れな体勢に持ち込まれ「ちょっと慌てた」。だが、すぐに左からすくい投げを打つなど、休まず動き、右を巻き替えて得意の右四つに。攻め続け、最後は左上手も取って万全の寄り切り。すでに前日13日目に8敗目を喫していたが「来場所も横綱、大関と当たる位置にいたいから」と、負け越しを最小限にとどめるため、気を吐いた。

この日、近大時代から同期の玉木が、豊昇龍を破って勝ち越しを決めた。十両や他の幕下上位の勝敗次第だが、今月24日の番付編成会議で、来場所の新十両に昇進する権利を得た。「玉木が勝って、自分も本当にうれしかった。負けられないと思って、今日も諦めずに取れた」と明かした。

玉木の取組後は「おめでとう」と、握手を交わした。朝乃山は「2人で入って、仲は良かったけど、1人で戦わないといけない世界。自分が先に関取に上がって(お互いに)気を使う部分はあった。早く関取に上がってほしいと思っていた。まだ、どうなるか分からないけど、幕下3枚目で勝ち越せる力はある。切磋琢磨(せっさたくま)して、高砂部屋を盛り上げていきたい」と、自分のことのように喜んだ。もちろん自身も、来場所の新三役の可能性は消滅したが「三役を目指して頑張りたい。千秋楽も、いい相撲を取って終わりたい」と、新たな活力にしていた。