大相撲の元関脇逆鉾の井筒親方(本名福薗好昭=ふくぞの・よしあき)が16日、都内の病院で死去した。58歳だった。鹿児島県出身。関係者によると、死因は膵臓(すいぞう)がんとみられる。弟の元関脇寺尾(現在の錣山親方)、兄の元十両鶴嶺山とともに「井筒3兄弟」と呼ばれ、もろ差しの名人として知られた。引退後は、師匠として横綱鶴竜らを育てた。通夜、告別式などの日程は未定。

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朝日山親方(元関脇琴錦)が17日、東京・両国国技館で他界した井筒親方への思いを語った。

「入院をしたとは聞いていたけど、病状は知りませんでした。若手の親方のことをよく考えてくださった。巡業部ではパイプ役になっていただいてね」と話した。

スピードを生かした「F1相撲」で2度の平幕優勝を飾った現役時代、同じく現役だった井筒親方に多くの教えを受けた。

「あの方のおかげで強くなったのは間違いない。まだ幕下だったころ、体の作り方を教えていただいた。背の低い力士はどうすればいいのか。肩幅を広げるしかないと。そのためのトレーニングを教えてもらい、貴ノ浪みたいな長身力士にも上手をとられなくなった」という。

特に目をかけてもらったという気持ちも強い。「怖い存在で、他の新弟子に教えている印象はないのにね。連日、井筒部屋に行って激しい稽古をしていたのを見ていてくださったのかな。幕下の頃は17、18歳で幕内とばんばんやらせてもらいましたから」。

引退し、親方になった後もお世話になった。「自分の本名が松沢で、ずっと“まっちゃん、まっちゃん”と呼んでもらってね。信じられない。ショックが大きいです」と肩を落とした。