三役経験者の西十両12枚目勢(32=伊勢ノ海)が10連勝で2敗を守り、新十両だった11年九州場所以来2度目の十両優勝に王手をかけた。3敗の琴ノ若に土俵際まで追い込まれたが、右を差して形勢逆転。振って出て、2度目の下手投げを打って寄り倒した。

巡業で「先輩」とよく話し掛けてくるという相手と、稽古も含めて初顔合わせだった。「強かった。でかいし、ぐいぐい来る。でも、まわしをつかんで“意地でも離さん”と思ってやりました。力を出し切れたことが、何よりよかった」。土俵下で右膝を地面にぶつけたが、大事に至らず、笑みが絶えない。

V争いの相手との直接対決を制し、後続と2差。14日目に勝つか、琴ノ若が敗れれば、優勝が決まる。「ちょっと前まで相撲がとれるかどうかもわからん状態で、2桁も勝ったしね。相撲ができるだけで幸せです」。残り2日をとりきる思いだけを強調した。