いつも通り低く当たった貴景勝だが、上背のある相手ならはじける。ただ豪栄道は身長も低く的が小さいから、当たりづらく突き放しも利かない。それがここまで3勝7敗という合口の悪さに表れている。押し相撲の幅を広げる意味でも、豪栄道のような相手には頭からいかず、手を出していくなり考える必要がある。もっと言えば、手の甲が下向きならいいが、手のひらが下向きだから落ちやすい。低く出れば何とかなると思ったところに落とし穴があった。豪栄道からすれば、自分からまわしを取りにいったわけではないが、貴景勝の低さに救われた格好で、上手に手が届いた。

豪栄道が意地を見せたことで4敗の5人にも優勝の可能性が残されたが、やはり賜杯に近いのは3敗の4人、それも御嶽海と貴景勝の両関脇。平幕の2人は連勝すれば決定戦の可能性が残るだろう。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)