「大相撲の継承発展を考える有識者会議」の第4回会合が9日、都内のホテルで行われた。

プロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長や女優の紺野美沙子氏らが参加し、約2時間、相撲の国際化について議論が交わされた。同会議は日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)の諮問機関。6月に第1回会合が行われ、1年半かけて来年秋に提言書と自己規律の指針をとりまとめる。この日は8人のメンバーのほか、柔道の1984年ロサンゼルス五輪男子無差別級金メダリストで日本オリンピック委員会(JOC)会長の山下泰裕氏と、剣道に造詣が深い弁護士の中井憲治氏(73)が出席。議論を深めるために柔道と剣道の専門家2人を招いた。協会からは八角理事長、芝田山広報部長(元横綱大乃国)らが出席した。

山下氏は自身の経験に基づき、柔道の国際化のメリットとデメリットを説明した。5日の国際オリンピック委員会(IOC)で新委員に推薦されることが決まり、来年1月の総会で正式に決定する見通しの同氏は会合後、取材に応じ「世界に広がっていくことで日本の心が広がっていくが、日本の伝統文化や所作が世界では受け入れられないこともある」と強調。大相撲は過去に何度か観戦に訪れたことがあり、柔道経験者の力士も多いことから「ますます発展してほしい」と期待した。

日本刀を腰に差して出席した中井氏は「剣は日本刀であるという解釈、剣道理念を説明するべきだと思ったけどとても時間がないので、日本刀を抜くところと振るところを見てもらった」と、剣道錬士6段の腕前を披露したという。大相撲同様、礼節を重んじる剣道。中井氏は「様式美の一環として礼法を定めてほしい」と、さらなる徹底を要求。名前こそ挙げなかったが、懸賞金の受け取り方が好ましくない力士がいるとして「子どもが見てもきれいだなと思えるやり方にしてもらえるようにしてほしい。子どもの教育上、好ましくない」と力説した。

会合での山下氏らの意見を受けて、王球団会長は「国際化となると日本古来の礼というのが難しい」と話した。八角理事長は「師匠という立場がしっかりしなければいけない。師匠を育てていくためにも人材という言葉が大事」と、気を引き締めていた。