日本相撲協会は9日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、大相撲初場所(12日初日・両国国技館)に向けた4日の稽古中、ともに拳を振り挙げ暴行騒動を起こした宮城野部屋の西前頭10枚目の石浦(29)と幕下の宝香鵬(30)、及び師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)への処分を決めた。宮城野親方が3カ月の報酬減額20%、石浦が1カ月20%の報酬減額とけん責、宝香鵬をけん責とした。

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重い処分とはならなかった。協会から事実関係の調査と処分意見の答申を委嘱され調査したコンプライアンス委員会が会議を開き処分意見を答申。その後、臨時の理事会で審議し、答申通りの処分が決まった。芝田山広報部長(元横綱大乃国)によると、3人は1人ずつ会議室に呼ばれて処分を言い渡され、八角理事長(元横綱北勝海)から「次はありえないよ」と言われたという。宮城野親方は都内の部屋で取材に応じ「重さは重々承知しています」と反省の表情を浮かべた。

関取による暴力事案は、1場所出場停止が基準となっている。当然暴力は許されざる行為。しかし今回は、稽古中に熱が入るあまり、互いに拳を振り挙げてしまったというもの。両力士にけがはなく、突発的でいじめの要素がないなどと同委員会が判断した。芝田山広報部長は「土俵を割っての暴力は論外。ただ、真剣な熱い稽古をしないと心身の教育にならない。(処分を)厳しくし過ぎて力士を萎縮させてはいけない」と話した。協会は2月に行う研修会で、師匠や力士らに注意、啓発を行うとした。

◆日本相撲協会の暴力禁止に関する処分 暴力禁止規定の第5条に明記。処分は軽い順にけん責(将来を戒める)、報酬減額、出場停止、業務停止(協会事業への従事を停止する)、降格、引退勧告、懲戒解雇の7項目。引退勧告を受けた者がすみやかに引退届を提出しない場合は、懲戒解雇とすることができる。力士の暴力に対する処分基準では、大関以下の関取の場合は1場所出場停止が一応の基準だが、内容、程度、情状などを考慮して適切な処分を行う。横綱の場合は引退勧告以上が基準になる。