28日に現役引退した大相撲の元大関豪栄道の武隈親方(33=境川)が29日、東京・両国国技館で会見を行った。26日まで行われた初場所を自身9度目のかど番で迎え、5勝10敗と負け越して関脇陥落が決定。10勝すれば大関復帰となる、ご当地の春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)での奮起も期待されたが、27日までに現役引退の意向を日本相撲協会に伝え、28日に現役引退と年寄「武隈」襲名が決まった。
主な一問一答は以下の通り。
-引退を決めた心境
豪栄道(以下豪) 自分の中ではやりきった気持ちがある。今は満足している。
-引退を決めた要因
豪 数年前から大関から落ちたら引退しようと心に決めていた。今場所で大関から落ちることが決まって、来場所相撲を取る気力がなかった。
-葛藤はなかったのか
豪 自分自身は迷いはなかったけど、いろんな方たちから説得された中で、自分勝手なわがままで引退とした。そこは申し訳ないと思う。
-来場所は故郷の大阪が舞台だった
豪 楽しみに待ってくれている大阪の人たちには申し訳ないが、気力のない相撲を皆さんの前で取る気はなかった。
-今場所の足首の状態は
豪 土俵に立つってことは、そのときの自分の中で今の最高の状態。言い訳は1つもない。
-負け越しが決まってからも土俵に立った
豪 師匠をはじめ今まで支えてくれた方のために、残りの3日間をしっかり取ろうと思った。
-現役生活を振り返って
豪 いろんな縁があって境川部屋に入って、師匠が義理と人情を大事にされる方なので、そういうところを一番学んだ。
-けがとの戦い
豪 けがはつきもの。つらいとか苦しいとか自分で思わないようにやっていた。
-一番の思い出
豪 優勝した場所(16年秋場所)が一番印象に残っている。
-かど番での全勝優勝
豪 一生懸命やれば結果が出ると信じてやっていた。
-特に印象に残っている一番
豪 優勝を決めた一番。それまで大関を決めてから情けない成績で、いろんな人にいい思いをさせてあげられなかった。優勝して皆さんが自分のことのように喜んでくれた。
-妙義龍関ら部屋の同年代力士への思い
豪 あれがいたから自分がいる。本当に感謝です。
-師匠への思い
豪 境川部屋入ってなかったら、もっとうぬぼれた人間になっていたと思う。
-貫いてきた信念
豪 やせ我慢。つらいときや苦しいときに、人にそういうところを見せないように努めてやってきた。
-今後は指導者として
豪 自分は横綱に上がれなかったので、横綱を育ててみたい。
-大関昇進で述べた“大和魂”を貫けたか
豪 自分の中では貫けたと思う。
-万全の状態にして春場所に臨まなかったのは
豪 一番は気力が尽きたのが原因。自分で決めたことなので、そこで続けることで自分に甘えが出るというか、自分で決めたことをやり遂げられないのか、ということがあった。
-負け越しが決まった翌日に会心の一番
豪 周りの皆さんのために残り3日は頑張れと師匠に言われた。今までの相撲人生の集大成だと思ってやった。
-今思う“大和魂”という言葉
豪 我慢強く、潔くというのが大和魂の本当の意味なので、そういうところですかね。
-大関という看板の重みをこれからどう伝えたいか
豪 プレッシャーはたくさんあると思うけど、それ以上にやりがいのある地位。それは伝えていきたい。
-引退を決めて師匠からどんなねぎらいの言葉が
豪 これから親方になるので、覚悟して頑張れと言われた。
-最後に師匠へ一言
豪 師匠の男っぷりの良さをこれからも見習っていきたい。