4カ月ぶりの本土俵でも焦りはない。新大関朝乃山(26=高砂)が6日、リモート会見に臨んだ。本来ならこの日は、無観客開催を目指す7月場所(19日初日、東京・両国国技館)の番付発表日。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で5月の夏場所が中止となり、番付は据え置きとなったため、番付発表は見送られた。そんな中、2週間後に迫った7月場所に向け、新大関が抱負や心境を語った。

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画面を通して報道陣の前に姿を現した朝乃山は、慣れない取材対応でも丁寧に自分の思いを口にした。3月の春場所以降、新型コロナの影響で自粛生活が続き、夏場所は中止に。6月に入り、ようやくぶつかり稽古や申し合い稽古を再開した。新大関として迎える場所が待ち遠しいはずだが「焦らずに本場所の土俵に立てればいい。とにかく焦らずにいこうという気持ちを持っています」とどっしりと構えた。

長く続く自粛生活の中で、ストレスをためないことは重要だ。アクション映画好きの朝乃山は、最近見た映画を問われ「『ジョン・ウィック』です」と即答。キアヌ・リーブス主演の殺し屋の復讐(ふくしゅう)劇が描かれた作品などを観賞し「気持ちを切らさずに高めている」という。

また大鵬や千代の富士、師匠(高砂親方)の朝潮ら歴代横綱、大関の現役時代の動画もチェックしている。「どうやったら右四つになれるか、右四つになれなかったらどうやって対処するのか」と、満足に稽古ができない状況下でも工夫を凝らしている。

大関に昇進して3カ月がたったが、土俵に立つ姿をまだお披露目できていない。満員の観客からの大関コールが待ち遠しいはずが「それはお客さんが一番望んでいる。僕は土俵の上から白星を届けるのが恩返しだと思う」と自覚は十分だ。さらに「大関という地位は常に優勝争いをしないといけない地位」。自分に言い聞かせるように決意を語った。【佐々木隆史】