14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、5年ぶり2度目の優勝を果たした。

関脇御嶽海を寄り切って13勝目。ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。優勝は15年夏場所以来。30場所ぶりの優勝は史上2番目のブランクで、大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降2人目。両膝の負傷や内臓疾患に苦しみ序二段まで番付を落とした男が、大相撲史に残る復活劇を成し遂げた。

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師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は、弟子の復活優勝に感慨深げだった。「よく頑張ったなと言ってあげたい。最初の状況だったら優勝とかは考えてない。場所前は勝ち越して、ケガなく終わればいいと思っていた」。賜杯を抱く姿までは想像できなかったという。照ノ富士が序二段まで番付を落とした際、引退を相談されたが翻意させた。「序二段に落ちた時に『序二段で勝っても負けても恥ずかしい話じゃない』と言った」と励ました。力も番付も順調に戻ってきたように見えるが「今はまだ一生懸命、ケガと闘っている最中。ただ、ケガを克服して本人も納得してると思う」と弟子の気持ちを代弁した。