東前頭4枚目栃ノ心(32=春日野)が、波乱の展開を巻き起こした。

負ければ大関貴景勝が単独トップになる結びの一番。注目の立ち合いで頭から突っ込んできた貴景勝を、変化気味に右に動いてはたき込んだ。勝負は一瞬で決まり、結果、2敗が9人となった。立ち合いについて栃ノ心は「作戦じゃない。たまたまそうなった。いつも通りやってやろうという気持ちだった」と話した。

また栃ノ心が勝ったことで幕内後半の取組は、東方の力士9人全員が勝利するという珍事が起きた。若手の若隆景から始まり、先場所優勝の照ノ富士や好調の正代が順当に白星を挙げ、朝乃山は不戦勝。自身の取組までに東方の力士が全勝だったことについて栃ノ心は「知らなかった。全然意識してなかった」と驚いた様子だった。

◆記録メモ 8日目を終えてトップに9人が並ぶのは、2敗で10人(大関魁皇、千代大海、武双山、栃東、平幕の雅山、土佐ノ海、時津海、海鵬、春日錦、琴光喜)の2003年名古屋場所以来の多さ。2敗が首位で折り返すのは、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降で、68年夏場所、75年名古屋場所と合わせて4度目。03年名古屋場所は朝青龍と武蔵丸の2横綱が序盤から負け込み、ともに途中休場したことも混戦のきっかけになった。最終的には魁皇が千代大海との千秋楽相星決戦を制し、12勝3敗で4度目の優勝を果たした。