大相撲秋場所で初優勝を果たした新大関の正代(28=時津風)が20日、東京・両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加した。平幕との申し合い稽古で2勝8敗と精彩を欠いた。

三番稽古で逸ノ城、碧山を指名して逸ノ城に1勝3敗、碧山に1勝5敗。立ち合いから相手の圧力に屈する内容が続き「今日はですね、ちょっといかんですね」と肩を落とした。事前の申し合い稽古にも参加していた2人で「みんなの方が体が温まっている。普通に勝てなかった。でも、もうちょっと勝てたらなとは思ったんですけど」と振り返った。大関貴景勝は相撲を取らず、四股やすり足、テッポウなどの基礎運動を入念に行った。

合同稽古は前半3日間が終わり、1日の休みを挟んで迎えた後半初日だった。正代は休みだった前日19日もリモート取材に対応。稽古以外でも多忙を極めるが「それなりに休めました」と気丈に振る舞った。

大関昇進から約3週間が経過したが、現在も東京・墨田区の時津風部屋で生活している。部屋を出て、徒歩圏内の賃貸物件に移住する願望はわずかにあるものの「出てもいいけどさみしがり屋のところがあるし、出たら出たで付け人も困ると思う」と、現状維持の理由を明かした。

しかし、部屋から新たな関取が誕生すれば引っ越しを余儀なくされる可能性もあるという。「次、誰かが関取に上がったら自分が追い出されるかたちになる。もう部屋がないので」。関取用の個室は計4室で時津風部屋の関取は正代と豊山の2人だが、新型コロナウイルスの感染者が出た場合を想定して“隔離部屋”が必要で実質、空き部屋がない。幕下上位には入門2年目で東農大の後輩でもある時栄らもいるだけに「できれば追い出してほしいですよね」と期待した。

6日間の合同稽古も残り2日。この日相撲を取る稽古を再開した横綱白鵬からも“ラブコール”を受けている新大関は「そうですね。1日空いて、早く本調子に戻してって感じですかね」と、白鵬との三番稽古に向けて準備を整える姿勢を見せた。【佐藤礼征】