稀勢の里 初日初顔御嶽海戦へ立ち合い徹底

険しい表情で立ち合いの仕切りを繰り返す大関稀勢の里(撮影・今村健人)

 日本相撲協会は8日、名古屋場所(10日初日、愛知県体育館)の取組編成会議を開き、綱とりに挑む大関稀勢の里(30=田子ノ浦)は初日に初対戦の東前頭筆頭の御嶽海、2日目に新関脇の魁聖と組まれた。初日に初顔合わせとの対戦は過去幕内5戦全勝で、いずれも場所を好成績で終えている験の良さ。初優勝が最低条件の綱とりに向けて“初物”を食べて勢いに乗る。

 それを過敏、不安と見るか。それとも繊細さ、妥協のなさと受け取るか。すべては「結果」でしか分からないが、稀勢の里は今できることに妥協がなかった。

 高安との三番稽古を終えると、撮影していたテレビ局関係者の元へと歩んだ。「どの相撲でもいいので、見せてもらえますか」。繰り返して眺めたのは、立ち合い。全体の稽古が終わるともう1度尋ねて、自身のスマートフォンで再生画面そのものを動画で収めた。

 二所ノ関一門の連合稽古以来3日ぶりに相撲を取った。結果は18番で10勝。特に終盤は立ち合いで劣勢となり、力なく土俵を割った。疲労は抜けたが、感覚のズレがあった。「少し狂いがあるので修正したい。ほんの少しだと思うし、問題ない」。そう語る表情は明るかった。撮影後は立ち合いの動作を繰り返し、それも若い衆に動画で撮らせた。ズレを放置せず、すぐさま修正に取り組んだ。

 自身4度目の綱とりへ、出だしの相手が決まった。大事な初日は初顔合わせの23歳、御嶽海。「若手で勢いがある。しっかり初日から集中していきたい」と気を引き締めたが、そこには“吉兆”が隠れていた。

 04年九州場所の新入幕以降、初日の相手が初顔なのは6度目。過去5度はいずれも白星で退けて、なおかつその場所を好成績で終えている。「初物を食べると75日長生きする」とは昔から伝わる言葉だが、75日もいらない。勝負の15日間さえ無傷で乗り越えられれば-。初優勝と、その先にある横綱昇進が見えてくる。

 稽古後には、訪れた園児と一緒に記念撮影し、タッチも交わした。そこには穏やかな笑みがあった。「(滑り出しは)もちろん大事。しっかり集中してやっていきますよ」とリラックスした表情を忘れずに、綱とりに挑む。【今村健人】