稀勢の里「最後だけ」逆転優勝へ土俵際踏みとどまる

白鵬を突き落としで破った稀勢の里(中央)。右は勝ち残りの日馬富士(撮影・岡本肇)

<大相撲名古屋場所>◇14日目◇23日◇愛知県体育館

 大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が文字通り、踏みとどまった。

 横綱白鵬(31=宮城野)との2度目の立ち合い。踏み込めず、攻めに後退したが、土俵際で左足1本で踏ん張った。左に動いて突き落とし。腹ばいになった横綱を見て、土俵下に飛び降りた。「最後だけですね。良かったです」と静かに息をついた。

 負ければ優勝の可能性がなくなり、綱とりの夢は振り出し。秋場所(9月11日、東京・両国国技館)にも持ち越すことができなかった。自力の可能性はないが、かすかに優勝の望みをつないだ。前日の日馬富士戦の黒星から切り替えて「今日は今日でしっかり集中してやりました」と話した。

 逆転優勝につなげるには、千秋楽で大関豪栄道(30=境川)に勝った上で、結びの一番で2敗の日馬富士(32=伊勢ケ浜)が白鵬に敗れて優勝決定戦にならなければならない。「しっかり、出し切っていく」と、目の前の一番に意識を集中した。