相撲前売り並んでも買えない…年配ファンはため息

夏場所前売り券発売開始から26分たった午前10時26分時点での売り行き状況。既に半数以上が赤色の「売切」で占められた

 大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の前売り券販売が8日、始まった。稀勢の里(30=田子ノ浦)の春場所新横綱優勝で相撲人気に拍車がかかったのを反映して、午前10時の販売開始から1時間半で全日程の前売り券が完売した。キャンセルがあった場合は引き続き、前売りが行われる。

 日本相撲協会事業部の浜風親方(元前頭五城楼)は「逆転優勝で反響も大きくファンの方の期待の表れ。ありがたいことです」と稀勢の里効果を即日完売の要因に挙げた。気の毒だったのは、この日早朝から雨の中、両国国技館に足を運び前売り券を求めた約200人のファンだ。正午からの販売だったが、これより先に午前10時からネットや電話で販売開始。同11時半には、売れ行き状況を示す電光掲示ボードが赤色の「売切」で埋め尽くされた。

 落胆の表情で家路に就いた、ある年配女性は「こんなことつい数年前まではなかったのに、ここに買いに来る意味がなくなっちゃった」とため息。「パソコンをうまく扱う人にはかなわないよ」などと嘆く人もいた。時代を反映してかネット上ではチケットが高額で転売されるなど、年配ファンにとっては手の届かないプラチナチケットになりつつあるようだ。