白鵬V一夜明け「3横綱と土俵入り」東京五輪へ思い

一夜明け会見で次の目標を語る白鵬(撮影・岡本肇)

 23日の大相撲名古屋場所千秋楽で、自身が持つ史上最多記録を更新する39度目の優勝を決めた横綱白鵬(32=宮城野)が、一夜明けた24日、名古屋市内で一夜明け会見し、報道陣の取材に応じた。

 今場所は2場所連続優勝に加え、史上最多の通算勝利記録もかかるなど、モチベーションに欠かなかった場所だった。昨年のこの名古屋場所は右足親指を負傷し、苦しい1年の始まりだっただけに、美酒に酔いしれて一夜明けても感無量の様子だった。

 また、現役続行のモチベーションの1つでもある東京五輪まで、この日で残りちょうど3年に迫っていることに触れられると「心と体をしっかりかみ合わせて準備したい。(他の)3横綱と土俵入りしたい」と語った。

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 ☆一問一答

 Q一夜明けて

 白鵬 去年は名古屋で優勝できなかったし、久しぶりに名古屋で盛り上がったな、という感じ。大記録、優勝したんだなという思いでいっぱいです。

 Q昨日はおいしいお酒を飲めたか。ずいぶん遅かったのでは

 白鵬 はい、飲めました。でも5時間ぐらいは寝られました。

 Q「名古屋のみなさん、サンキュー」という優勝インタビューの言葉が話題になっている

 白鵬 へぇ~、そうですか。いや~、天才だね(笑い)。たまたま(会場のファンが掲げる)「V39おめでとう」の文字が目に入ったので使ってしまいました。

 Q14日目の伊勢ケ浜親方の(NHK)解説に共感されたそうだが

 白鵬 右四つをベースに、いろいろなことをやっていくというのは今場所の流れだったように思うし、自分が目指す形にこだわらないというスタイルに近づいたのかな、という感じがします。

 Q相撲は奥が深いという話もしているがあらためて

 白鵬 負けた相撲(御嶽海戦)は、立ち合いで勝ったと思った、オレって天才だなと。その瞬間に逆転負けしたということは、やっぱり相撲は奥が深いなと、あらためて感じた。

 Q子どもたちの目標になりたいという思いは

 白鵬 1つ目は自分自身にある。どれだけいじめて鍛えて追い込んで、そして本番で結果を残す。あと何年やれるか分からないけど、第2の人生がアスリートは長いから、そこにぶつけて生かしたい。2つ目は、大鵬関の32回(最多優勝記録を更新して)から目標を失ったという寂しい思いがあったので、これから大相撲を目指す子どもたちに、少なからず寂しい思いをさせないように今後、修行を積み重ねて頑張っていきたいなという思いでいる。

 Qいよいよ優勝40回が見えてきた

 白鵬 人の言葉の鋭さを思い出すね。春場所で休場した時、「30回以上、優勝した横綱は(白鵬を含め)3人いるけど、大台40回は誰もいないぞ」と言われた時、体が熱くなった。今場所は大記録、1045(3位=千代の富士)、1047(2位=魁皇、ともに通算勝利記録)、そして優勝と、次から次に(話題が)15日間、来るという、こんな場所はなかったような気がする。そういった意味で疲れたな、と思う。

 Q通算勝利記録は並んだ時、乗り越えた時の喜びは、それぞれ違ったか

 白鵬 並んだ時にうれしさがあったけど、超えた時も意外とうれしさがあった。相手が新大関高安で、いちばん勢いがあるお相撲さんだったし、そこでいい相撲が取れたことで喜びが倍増した。その前に1回、(タイ記録がかかった御嶽海戦で負けて)待ったがかかりましたからね。その分、良かったのかなと。

 Q待ったがかかった一番(御嶽海戦)を振り返って

 白鵬 右で張って、すぐ右上手取れた瞬間、ちょっと笑ってしまったかな。

 Qこの後は(夏巡業開始まで)少し休めるか

 白鵬 今日からふるさとに帰って、新大統領も誕生しましたし、家族を両親と会わせて、子どもたちをおじいちゃん、おばあちゃんのそばに置きたいな、という思いで帰ります。

 Q優勝回数はこの先、どれぐらいが見えるか

 白鵬 先場所は優勝が14日目だった。今回は最後の最後まで分からなかった。今まで通りに努力していけば、優勝というのは、まだまだ私にほほ笑んでいるのかなと思う。何より名古屋で優勝39回という、大台40回への大きな足固めができたなという思いです。

 Q引退も近いのではという声もある中での優勝。

 白鵬 この名古屋で足を痛めたから、その借りを名古屋でキッチリ返すことが出来た。その名古屋で応援してくれた方々、そして全国、世界中の相撲ファンに大記録を見せることが出来たことは、忘れられない思い出深い15日間、名古屋場所になり、満足感でいっぱいです。

 Q横綱を奮い立たせたものは

 白鵬 横綱である限り目標、モチベーションが自分を奮い立たせてくれた。今回、1048勝目した時、優勝したかのようだった。テレビを観れば自分、新聞を見れば自分。終わったような感じだった。だから14日目に朝起きて、豪栄道戦の前かな、気持ちが入ってこないというね。ギリギリまで自分と闘って、やっと制限時間いっぱいになって気持ちが入ってきた。あんなのは初めてですね。それほどの大記録だったんだなと14日目、しみじみとかみしめながら土俵に上がって仕切ってましたね。(後で映像で)取組を見れば(落ち着かずに)下を見たり上を見たり、自分に「いつもと一緒だ」と言い聞かせながらやりきりました。

 Q今場所も4横綱が最後までそろって15日間を全うできなかった

 白鵬 4人で千秋楽を迎えるのが最高の形。それを達成したという思いはあるし、それは何よりファンの方々が臨んでいるもの。ただケガというのは小さいの大きいのに関係なく、本人にしか分からない痛みがある。しっかり治して万全な体勢で、いつかその日が来ることを願うし、自分自身もしっかりしなければならない、というのはある。

 Q東京五輪まで今日で残り3年。常々、東京五輪への思いを語っている

 白鵬 そうですね…。いよいよ、もう3年か。5年、6年とか言っていたのがね。その東京五輪のために、心と体をしっかりかみ合わせるような努力と、準備をしたい。

 Qどんな形でかかわりたいか

 白鵬 やっぱり土俵入りですよ。4横綱いますからね。横綱4人で。露払い、太刀持ちと3人で土俵入りしたいね。