拒否された貴乃花親方「特にありません」冬巡業不在

大相撲理事会で貴乃花親方(奥列左)と八角理事長(手前)は向き合う形で座っていた(撮影・小沢裕)

 大相撲の貴乃花親方(45=元横綱)が、巡業部長でありながら冬巡業に同行しないことが決まった。日本相撲協会は11月30日、東京・両国国技館で定例理事会を開き、同親方は暴行問題への対応のため、12月3日から始まる冬巡業に参加しないと発表。暴行を受けた弟子の平幕貴ノ岩(27)への危機管理委員会の聴取については、鳥取県警の捜査終了後に応じる意向を示した。12月20日の臨時の横綱審議委員会と理事会で、危機管理委の最終報告と、同親方ら関係者への処分が決まる。

 3時間半近くにも及ぶ理事会後、冬巡業での巡業部長不在が発表された。2日後には最初の巡業先となる長崎・大村市入りが迫る、直前での異例の措置だった。

 これに対して貴乃花親方から反論などは「特にありません」(八角理事長=元横綱北勝海)と、すんなり受け入れたという。暴力問題ではこれまで、被害を受けた貴ノ岩への危機管理委の聴取を拒否。理事会では各理事、監事が意見を述べる場で、ほとんどの出席者から「協力したらどうですか」と求められたという。

 その末に、鳥取県警の捜査終了後であれば応じるとの約束を取り付けた。八角理事長は「問題について対応があるし、今回は休んでもらうことになった」と説明。尾車事業部長(元大関琴風)も「今のこの騒動の中で、多くのマスコミの方も押しかけるでしょうから本来、巡業を見に来ているお客様や土俵がそっちのけになってはいけないと思って」と、春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)に変更した理由を明かした。

 実は力士から要望もあった。八角理事長が11月28日に、福岡市内で暴力問題再発防止について行った講話の最後に、貴乃花親方を巡業部長から外してほしいと横綱白鵬から要望が出た。同親方が同行するなら、巡業に参加できないなどと発言。一力士としては行きすぎた言動でもあり、理事長はこの日「そういうことは力士会で決めて(協会の)経営協議会で諮ることがルールになっている。そこに持ってきてくれと話した」と説明。発言の主が白鵬だったかは否定も肯定もしなかったが、力士から不満が漏れていたことを認めた。

 危機管理委員長の高野理事は会見で、これまで聴取に協力しない貴乃花親方の姿勢に「ただちに処分するかどうかということは考えておりませんが、きちんと協力していただくことに理事としての責務があるのではないかと私は思っております」と、何かしらのペナルティーがあってもおかしくないと私見を述べた。

 12月中にも元日馬富士関が書類送検される可能性があり、危機管理委はそれをもって捜査終了と判断するという。12月20日の臨時理事会で元日馬富士関の師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)や暴行が行われた現場に居合わせた力士らとともに、問題の関係者への最終的な処分が決まる。