ビール瓶でなくシャンパン瓶、滑った/中間報告要旨

暴行問題の経過

 日本相撲協会は11月30日、東京・両国国技館で定例理事会を開いた。

 理事会では、元横綱日馬富士関(33)の暴行問題について危機管理委員会から中間報告が発表された。貴ノ岩の聴取を終えていないものの、調査が相当進んだとして経過報告。12月20日に最終報告を行う。この日、貴乃花親方が警察の捜査終了を条件に応じると返答し、年内の全容解明が見えてきた。

<危機管理委員会 中間報告要旨>

【暴行現場】

 一、10月25日の食事会は鳥取城北高の関係者が開催。白鵬、日馬富士、鶴竜、照ノ富士、貴ノ岩、石浦のほか高校関係者も参加。

 一、1次会で白鵬が貴ノ岩に対し、9月の粗暴な言動を説教。日馬富士が貴ノ岩をかばって収まった。

 一、親を亡くすなどの似た境遇から日馬富士は貴ノ岩を日頃からかわいがっていた。

 一、2次会は事前に決まっておらず、高校関係者が企画。1次会のメンバーがほぼ参加し、個室には日馬富士、貴ノ岩、白鵬、鶴竜、照ノ富士、石浦のほか高校関係者ら約10人が入った。

 一、2次会では、白鵬が貴ノ岩と照ノ富士に高校の恩を忘れないように説諭した際、貴ノ岩がスマートフォンをいじり、日馬富士が注意。貴ノ岩は苦笑いしながら彼女からのメールと応答。日馬富士は腹を立て、貴ノ岩の顔面を平手で殴った。

 一、貴ノ岩がにらみ返し、謝罪もしようとしなかったため、日馬富士は謝罪するように言いながら平手で多数回、カラオケのリモコンで頭を十数回殴った。

 一、日馬富士はシャンパンのボトルを振り上げたが、手から滑った。ボトルで殴っておらず、馬乗りにはなっていない。白鵬が止めに入り、暴行は止まった。

 一、日馬富士は日本酒を飲んでいたが、泥酔状態でなく、当日の状況を記憶している。日頃から酒癖が悪いこともない。

【貴ノ岩の負傷】

 一、頭部の裂創は医療用ホチキスで縫うけが。

 一、診断書を出した病院によると頭蓋底骨折、髄液漏れはともに疑い。

 一、全治2週間は負傷した10月26日から11月8日までの2週間。病院は安定したと判断して11月9日に退院させた。

【モンゴル勢の交流】

 一、モンゴル力士会と呼ぶ生活互助会がある。会費を集めて、けがの見舞金や冠婚葬祭、モンゴルの病気の子どもへの寄付にも利用。モンゴル力士は例外なく参加している。

 一、モンゴル力士会の趣旨は生活互助で、食事会でない。定例的な会合は近年なかった。

 ◆日本相撲協会理事会の決議

 一、暴行問題の全容を解明、必要な懲戒を行い、適切な再発防止策を策定するため、全ての理事、監事、協会員、職員が結束して協力する。

 一、暴行問題への対応は日本相撲協会にとって「信用の危機」にあたる。危機管理委員会の調査に協力し、さらに必要な懲戒、適切な再発防止策の策定に向けて協力が必要である。