貴乃花親方は現れず…新小結貴景勝、堂々1人で会見

小結昇進が決まった貴景勝は、両国国技館で行われた会見で番付表を指さす。下段右から3番目には貴ノ岩の名も(撮影・野上伸悟)

 日本相撲協会は26日、大相撲初場所(来年1月14日初日、両国国技館)の新番付を発表し、貴景勝(21)が、新小結に昇進した。貴乃花部屋からの三役誕生は、貴乃花親方(45=元横綱)が04年に部屋を創設して以来初。東京・両国国技館で行った会見では、師匠の同親方が同席していないことも、元横綱日馬富士関による兄弟子の十両貴ノ岩への暴行事件も、どちらも気にしない強心臓ぶりを見せた。

 会見場に姿を現した貴景勝は、落ち着いた表情を浮かべていた。テレビカメラ8台、報道陣約70人が集まった注目の会見。暴行事件に関して、前日25日に日本相撲協会危機管理委員会の聴取に応じ、28日に処分が協議される師匠の貴乃花親方の姿はなく、華々しい会見に1人で臨んだ。師匠からは「1人で行ってこい」と言われたという。しかし「新入幕の時も1人でやりましたし、2回目なので」と違和感はなかった。

 兄弟子貴ノ岩への日馬富士関による暴行事件発覚後、常に周囲は騒がしかった。そんな中で九州場所は金星2個を含む11勝。「自分は自分のことでいっぱいでした。影響は全然なかった」と自然体だった。全休した貴ノ岩は、初場所で東十両3枚目まで落ちるが「いろいろと思うことはあるけど、僕が言うこともないし、言う立場でもない」ときっぱり。ただ、復帰を願う気持ちについては「もちろんです」と弟弟子らしく待ち望んでいる。

 175センチと身長は低いながら、得意の押し相撲を磨いてここまで上がってきた。しかし、おごる気持ちはない。「自分1人では三役になれなかった。兄弟子たちに胸を出してもらったのもある。貴乃花部屋の恥にならないように」と感謝の気持ちがあった。

 三役昇進は今年の目標だった。次の目標は「関脇に上がりたい。1歩1歩良い成績を残して、目指していかないといけない。関脇にならないと大関にはなれない」と意気込んだ。師匠と兄弟子らへの恩返し、そして部屋を明るい話題で照らすために、とことん結果にこだわり続ける。【佐々木隆史】

 ◆貴景勝光信(たかけいしょう・みつのぶ)本名・佐藤貴信。1996年(平8)8月5日、兵庫県芦屋市生まれ。4歳から極真空手を始め、小3の終わりに全国大会で準優勝。小4から相撲を始め、埼玉栄高で全国7冠。しこ名は師匠の貴乃花親方が尊敬する上杉謙信の後継者、上杉景勝から。本名の「貴信」は、父がファンだった貴乃花と織田信長が由来。家族は両親。175センチ、168キロ。血液型O。

 ◆貴乃花部屋 04年2月、二子山部屋の部屋付きだった貴乃花親方が、父である元大関貴ノ花の二子山親方(故人)から継承し、貴乃花部屋に名称が変わった。12年名古屋場所で、貴ノ岩が新十両昇進を果たし、貴乃花部屋の関取第1号となった。昨年、部屋を東京・中野区から江東区に移転した。