貴乃花親方、態度一変し「貴公俊に寛大な処分」願う

貴輝鳳の取組を生観戦する貴乃花親方(撮影・鈴木正人)

 大相撲の貴乃花親方(45=元横綱)が23日、内閣府公益認定等委員会に提出していた告発状を、取り下げる意向を示した。春場所13日目を行った会場のエディオンアリーナ大阪で明らかにした。告発状は、元横綱日馬富士関による弟子の十両貴ノ岩への暴行事件に関連して、日本相撲協会の対応を問題視し、今月9日に提出したもの。だが18日に弟子の貴公俊(たかよしとし)が付け人に暴行して以降、謝罪に次ぐ謝罪。自身を「一兵卒」と表現し、出直しを誓った。

 会場入りした貴乃花親方は、観客に配慮し、薄暗い関係者用階段の踊り場で取材に応じた。声も暗いトーンで、内閣府への告発状について語った。

 貴乃花親方 取り下げるという言葉を使っていいのか分かりませんが、すべてをゼロにします。私の意思です。一兵卒として出直して精進します。一兵卒として微力ながら、協会のために皆さんと話をして、努力していきたいと思います。

 昨年の秋巡業で元日馬富士関による暴行事件が起きて以降、日本相撲協会執行部との対決姿勢を打ち出していたが、事実上、和睦を申し出る格好となった。

 理事を解任された件や、暴行事件の調査について今月9日、内閣府に告発状を提出。立ち入り捜査や適切な是正措置を求めた。だが18日に弟子の貴公俊が、支度部屋で付け人を数発殴る問題を起こしたことで、態度がガラッと変わった。

 現在は役員待遇委員で、役員室に勤務する必要がありながら、春場所序盤は欠勤が目立った。それが最近は5時間余り滞在。会場内ではファンにも快く対応する優等生に変身した。弟子の暴行については「師匠の私に責任があると思う。貴公俊はまだ20歳。将来があるので、ぜひとも寛大な処置をお願いしたい」と話し、八角理事長(元横綱北勝海)にその旨を申し入れる考えを示した。

 また、告発状提出の代理人弁護士を務めるTMI総合法律事務所の富岡潤弁護士は現状について「(貴乃花親方から)取り下げてほしいという要請をされているわけではない」としつつ「相談しながら、やりたいことをサポートしていきたい」とした。

 貴乃花親方は、役員以外の親方衆で構成する年寄会から、元日馬富士関の暴行事件以降の言動に疑問があるとして、28日の会合への出席を求められている。この日、年寄会会長の錦戸親方(元関脇水戸泉)から直接、文書で要請された。貴乃花親方は「出席します」と明言。協会執行部との言い分が食い違うため、役員の出席も求め、全親方衆を対象とする臨時の年寄総会となる見込み。「いろんな質問が出てくると思うのでお答えする。(どんな質問も)答えます」と断言。多くの親方衆との討論会から、一兵卒として出直す。