大相撲の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が、夏場所(13日初日、東京・両国国技館)の休場を決めた。11日、両国国技館で行われた取組編成会議に、左大胸筋痛で「約1カ月激しい運動を制限する」との診断書とともに休場を届け出た。年6場所制となった1958年(昭33)以降の横綱では、貴乃花と並ぶ最長タイの7場所連続休場。横綱審議委員会(横審)の北村正任委員長が「覚悟を持って」と再起を促すなど、唯一の日本出身横綱に逆風が吹き始めた。
7場所連続休場のワースト記録に並び、稀勢の里の周辺が騒がしくなってきた。横審の北村委員長は「体調不十分であればやむをえない。覚悟を持って次場所に備えてほしい」と、従来よりも強いトーンで再起を促すコメントを発表。先場所までは“次の次”の出場場所まで進退を問わず、治療を優先してほしい趣旨の話をしていた。それがこの日は一転して「次」と前倒しして「覚悟を持って」と厳しい論調に変化した。
3日の横審稽古総見で、稀勢の里は三役以上の申し合いで3勝5敗と振るわなかった。稽古後、岡本委員は「弱いな」と一刀両断。山内委員は「不安を感じる」と話し、宮田委員も「(他の横綱と)互角にやってもらいたい」と、現状では白鵬や鶴竜よりも1段階、力が劣るとの認識を示していた。その後の稽古で上積みもなく、この日の北村委員長のコメントと合わせ、夏場所後の横審定例会では進退の話題となる可能性もある。
これまでは取組編成会議前日に、出場の可否を明言していた。それが同会議当日早朝に、師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)に促される形で休場を受け入れた。師匠は涙を流しながら「責任感の強い男ですから場所に出るつもりでやってきましたが、思うような相撲が取れなかった。本人も休場せざるを得ないと分かっていた。最後は『はい休場します』と言っていた」と明かした。
暗い話題が続くが、復活の可能性がないわけではない。大鵬は5場所連続休場後に6度、柏戸は6場所連続休場後に3度優勝している。いずれも名横綱。稀勢の里が後世に名を残す先人のようによみがえるのか、失速したままなのか。「次は大事な場所になる」。この日語った田子ノ浦親方の言葉が、日に日に重みを増していく。【高田文太】
<横審委員のコメント>
◆矢野弘典 しっかりと治した方がいい。中途半端に出るのは良くない。何場所連続(休場)とか数字にはこだわらなくていい。次に出場した場所は責任が重い。鶴竜も何場所も続けて休み、優勝して立ち直った。稀勢の里にもそれを期待したい。
◆都倉俊一 久しぶりの日本人横綱の期待が大きいだけに7場所(連続)休場は残念。体を治さなければ横綱らしい土俵を務められないだろうし、世間の見る目はもっと厳しくなるだろう。治すためであれば数場所の休場もやむを得ないと思う。