稀勢の里、相撲勘不十分…名古屋場所出場判断先送り

連合稽古で竜電(右)に思い切りぶつかられ、顔がつぶれた格好となった稀勢の里(撮影・高田文太)

 大相撲の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が29日、名古屋市の鳴戸部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加し、西前頭15枚目の竜電と三番稽古を行った。弟弟子の大関高安以外の関取衆と相撲を取るのは、夏場所前以来、約2カ月ぶり。連合稽古は翌30日との2日間を予定しており、この日は、名古屋場所(7月8日初日、ドルフィンズアリーナ)での対戦の可能性が極めて低い番付の離れた相手を指名したが、計9番で5勝4敗と苦戦した。

 相手に脇を固められ、左差し、左からのおっつけと得意の形は封じられた。勝った相撲は、何とか押し出すという取り口が多く、逆に負けた相撲は、もろ差しを許して一方的に寄り切られることが2度もあった。報道陣に何かを試す意味合いが強かったか問われると「いや、まあ、しっかり」と、明確な回答を避けた。9番という番数についても「まあ、まあ」とだけ答え、すぐに移動の車に乗り込んだ。

 師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は「いっぱい課題はある。全体的に」と、7場所連続休場からの再起に向けて、順調とは言い切れなかった。左を使えなかったことについても「相手も考えてきているから」と、相撲勘も十分とは言えない様子だった。名古屋場所の出場については「今日の内容では判断できない」と、先送りにした。