7場所連続休場中の横綱稀勢の里(田子ノ浦)が32歳を迎えた3日、横綱白鵬が所属する名古屋市の宮城野部屋に出稽古した。2日は九重部屋で三番稽古をして好感触をつかみ、さらなる上積みを狙って2日続けて先輩横綱の胸を借りた。同部屋への出稽古は初。名古屋場所(8日初日、ドルフィンズアリーナ)出場へ、なりふり構わない姿勢を見せた。
稀勢の里が、初めて宮城野部屋の稽古土俵に上がった。目の前には白鵬。出稽古した前日2日の九重部屋で、たまたま会ったのとは状況が違う。「昨日横綱の胸を借りて非常にいい稽古になったので今日もと思って」。三番稽古をした2日夜に、師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)に出稽古を直訴。休場が続く危機感の中、殻を破ろうと自分なりに考えて決断した。
しかし白鵬の事情もあり、2日連続での横綱同士の三番稽古は実現しなかった。「タイミングとかいろいろありますから」と平幕の正代と11番(全勝)取っただけだったが、最後にぶつかり稽古で合計16本、白鵬に胸を借りた。「新大関、新横綱でもぶつかってますから。ありがたい。1人ではできないですから」と感謝した。稽古を見守った田子ノ浦親方は「強い力士と当たっていかないと。場所に出れば必ず当たるので。本人もいろいろ考えている」と、本場所を見越しての出稽古であったことを説明した。師匠の目にも、もがく姿がしっかりと映っていた。
32回目の誕生日に、報道陣から用意されたケーキに「平常心」と記した。「平常心で場所を乗り切れれば。その気持ちで稽古している。千秋楽まで取り切れる場所が続くように頑張りたい」と願いを込めた。名古屋場所の出場は、この日も明言せず。それでも出場するために、出場した時のために今は必死にもがき苦しんでいる。【佐々木隆史】