貴ノ岩が暴行 泥塗る行為で協会内に厳罰求める声

2日の長崎巡業で、稽古場に現れた白鵬(右端)のもとに、あいさつに訪れた貴ノ岩(左)。手前は春日野巡業部長

日本相撲協会は5日、東京・両国国技館で、幕内力士の貴ノ岩(28=千賀ノ浦)が4日夜に巡業先の福岡・行橋市で付け人を務める同部屋の弟弟子(23)に暴力を振るったため、謹慎させたことを発表した。同日、冬巡業に参加していた貴ノ岩を帰京させ、都内で師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)同席のもと鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)と宮田主事が事情を聴取。今日6日に付け人から事情聴取し、今後の理事会で貴ノ岩の処分を検討する。

またも相撲界で暴力問題が起きた。4日午後11時ごろ、宿泊先の福岡・行橋市のホテルで、貴ノ岩が付け人に暴力を振るった。翌朝、関係者から報告を受けた春日野巡業部長(元関脇栃乃和歌)が付け人と貴ノ岩から別々に事情を聴き、暴力行為が明らかになった。

春日野巡業部長は、在京の鏡山危機管理部長に報告し、巡業先の行橋市市民体育館入りしていた貴ノ岩を帰京させた。付け人は行橋市の病院で診察を受けた。目立った外傷はないが、殴られたほおは腫れているという。警察への被害届は出していない。4日午後10時ごろには、行橋市の路上で貴ノ岩を目撃した関係者もいた。外食していたとみられる。

貴ノ岩は午後2時ごろ都内で、鏡山危機管理部長らから事情聴取を受けた。暴行の原因は、忘れ物をした付け人が言い訳をしたためで、平手と拳で4、5回殴ったという。

貴ノ岩は巡業を休場して、暫定処置として都内の千賀ノ浦部屋で謹慎する。今日6日は、鏡山危機管理部長らが都内で付け人から事情を聴く予定。双方の話を聞いた上で、今後の理事会で貴ノ岩の処分を決定する。この日対応した芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「協会の一員としての自覚が足りない。だからこういうことになる。関取として指導する立場なのに」と怒りをにじませながら、残念そうにした。

貴ノ岩は昨年10月の秋巡業中に、元横綱日馬富士から暴力行為を受けた被害者でもある。被害者が一転して加害者となったことに、芝田山広報部長は「自分も被害を受けた立場のはずなのに」とぼやいた。10月には日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)が、暴力決別宣言と暴力問題再発防止策の方針を発表したばかりだった。

11月の九州場所では、師匠だった貴乃花親方(元横綱)の退職に伴い、ともに千賀ノ浦部屋に転籍した弟弟子の小結貴景勝が初優勝。身の回りに少しずつ明るい話題が出てきた直後に、自らの手で部屋にも相撲界にも泥を塗った。協会内には早くも、厳罰案が浮上している。