<取材ノートから10 相撲納谷>
大相撲の納谷(18=大嶽)の1年が終わった。元横綱大鵬の孫で、父は元関脇貴闘力。今年1月の初土俵から順調に番付を上げたが、9月の秋場所で幕下の壁にぶち当たった。幕下復帰が濃厚な来年1月の初場所、そして2019年を飛躍の年にできるか。
幕下の壁は分厚い。この1年を振り返ると痛感させられる。幕下デビューとなった秋場所は3勝4敗、三段目に陥落した九州場所は4番取って何とか勝ち越した。春場所の序ノ口で全勝、続く序二段、三段目でともに6勝1敗。順調に滑り出していただけに、納谷は「納得はいっていないです。自分の中ではもっと上にいけたと思っているので」と不満顔だった。
膨らむ周囲の期待に、2人の師匠がくぎを刺す。「大鵬の孫」という代名詞に、全盛期の祖父を上回る188センチ、160キロ超の恵まれた体格。幕下以下の力士にもかかわらず、本場所中は取組ごとに報道陣に囲まれた。そんな中、納谷の恩師で埼玉栄高相撲部の山田道紀監督は「地道に努力できる子だけど、まだまだ体をつくっている段階。焦らなくていい」と話す。
師匠の大嶽親方(元十両大竜)は「まだ基礎ができあがっていないし、なんたってまだ18歳だから。とことん悩めばいいと思う。今はそういう時期。僕からは一方的に言わないし、自主性に任せている」。
納谷も「師匠(大嶽親方)からは特に多くは言われない」と語る。今年1月に部屋に所属していた元前頭大砂嵐が、無免許運転で衝突事故を起こすなどして3月に引退したことを受け、大嶽親方も指導の価値観が変わった。
「違う国から来て、今までのように厳しく厳しくじゃ持たない。特に若い子は強く言われないで育っている。そういう時代なんだと思う。特に大砂嵐の一件があってから、弟子の自主性を大事にするようになった」。
納谷が高校3年間を過ごした埼玉栄高では、土俵上での稽古は1日1、2時間と少なく、それ以外の時間は生徒の自主性に任せる。似たような環境で飛躍のきっかけをつかめるか、注目したい。【佐藤礼征】