<大相撲初場所>◇13日目◇25日◇東京・両国国技館
6戦全勝で3人が優勝争いのトップに並んでいた三段目は、十両7場所経験の東15枚目・朝弁慶(あさべんけい、29=高砂)が、初の各段優勝を遂げた。
3人の中で、まず最初に土俵に上がった西75枚目の大勇人(22=峰崎)だったが、序二段で優勝を争う鳩岡(24=木瀬)に寄り切られた。勝った方が優勝の直接対決は、朝弁慶が西49枚目の琴誠剛(24=佐渡ケ嶽)を、左四つから右上手も引きつける万全の体勢から寄り切った。
初土俵から8年半あまりという遅咲きながら、15年九州場所で新十両。丸1年、関取の座を守りながら幕下に陥落した。再び関取の座を目指し幕下10枚目以内が続いていたが、昨年3月の春場所の相撲で右膝の軟骨を骨折してしまった。その場所は6勝1敗で10場所ぶりの再十両を決めたが「目標だった十両の土俵だから」と、翌5月の夏場所は無理をおして出場。これがたたり、今度は右膝の半月板を痛め3勝しか出来ないまま、14日目から休場。6月には手術し、もちろん番付は幕下に陥落した。
7月の名古屋、9月の秋と連続全休し、治療とリハビリに専念した。場所前も相撲を取る稽古はできなかったが「あまりにも出ないと気持ちが折れてしまう。無理してでも出よう」と、11月の九州場所は周囲の制止の声にもかかわらず出場。6年半ぶりの三段目の土俵で4勝3敗と勝ち越した。
年が明けても、相撲を取る稽古はできないまま迎えた今場所は「特に何も考えずに一番一番と思って取った」ことで精神的にも楽になった。あとは、身長と体重が同じ数字(189)の恵まれた体を生かして、前に出るだけ。膝のサポーターも「それ(サポーター)に慣れるのは好きじゃないから」と何も着けずに臨んだ。来場所は再び、関取の座に挑戦できる位置まで上がりそう。「そろそろ相撲を取る稽古を(番付)下の方からやろうと思います」と復活への青写真も描く。「湘南の重戦車」の異名を持つ押し相撲を、再び取り戻すための汗を流す。
◆東15枚目 本名・酒井泰伸。神奈川県平塚市出身。07年春場所初土俵。189センチ、189キロ。得意は押し。