豊ノ島1022日ぶり幕内勝利「本当に長かった」

照強(左)にはたき込みで勝利する豊ノ島(撮影・上田博志)

<大相撲春場所>◇初日◇10日◇エディオンアリーナ大阪

約3年、16場所ぶりに戻った幕内での白星の味は、やはり格別なものだった。アキレス腱(けん)断裂で幕下陥落後、「奇跡的に戻ってきた」と自ら話す西前頭14枚目の豊ノ島(35=時津風)が、16年夏場所以来となる幕内の土俵に上がり、その場所の千秋楽以来、1022日ぶりの幕内勝利を挙げた。

相手は新入幕で東前頭14枚目の照強(24=伊勢ケ浜)。気持ちがはやってか、照強が突っかけて立ち合い不成立。仕切り直しで立つと、豊ノ島は同じ169センチで前後左右に動き回る相手に構わず、ひたすら前に出続けた。突いて押して、いなして崩そうとする照強に対し、前に倒されることを恐れず前進。体勢を崩したところをはたき込んで、幕内通算481勝目をものにした。

取組後、再入幕では異例ともいえるNHKのインタビュールームに呼ばれ、テレビ画面に笑顔をはじけさせた。1022日ぶりの幕内の土俵は「数字で言われると軽く感じてピンと来ないけど、本当に(戻るまで)長かった」。喜びという点では無給生活に別れを告げる十両復帰の方が大きかったようだが、幕内復帰は「懐かしさを感じた。お客さんの入りとか歓声とか“こんな感じだったな。これこれ”ってね」。

丸2年の幕下生活が、35歳のベテランを若返らせた。「本来の自分らしくない」という前に出る相撲もそう。この日のように、怖がらずに前に出る相撲は「以前は負けたらどうしようという緊張があった。今は下(幕下)に下がったことを思えば、こうやって(関取として)相撲を取れるのは、ありがたい。身近に、相撲を取れなくなった人間もいることを思えば、楽しんで取れる。相撲を取れていることに感謝してます」という、目先の勝負へのこだわりから解放されたことで、気持ちが若返った。「一生、相撲は取れないと思った時期もあったから」。よわいを重ねて、ますます意気盛んだ。