東十両筆頭の豊ノ島5連勝「張り差しで行こうと」

豊ノ島(左)は押し出しで隆の勝を下す(撮影・加藤諒)

<大相撲夏場所>◇7日目◇18日◇両国国技館

1場所での再入幕を目指す東十両筆頭の豊ノ島(35=時津風)が、3日目からの連勝を「5」に伸ばし、6勝1敗とした。

十両の優勝争いで、全勝の貴源治(22=千賀ノ浦)をただ一人の1敗で追っている。

同4枚目の隆の勝(24=千賀ノ浦)と対戦。本場所はもちろん、稽古場でも胸を合わせたことがない相手だ。183センチ、161キロの相手と仕切りで正対した時、それまでのシミュレーションを修正した。「張っていこうか、そのまま二本差しに行こうか。差して行こうと思ったけど、仕切りの時、思っていた隆の勝の体の大きさより、もちっと(大きく)感じた。仕切りでも何となく自分から見て左に寄っていたような感じだったから、張り差しで行こうと。最後の塩で決めた」。

出番前の支度部屋から、立ち合いをどうするか二転三転したが、ベテランならではの読みで決断。立ち合いは右で張って、相手の出足を最小限に食い止めた。それでも押し込まれたが、余裕はあった。後退しながらも右でおっつけ、左も浅くのぞかせた。右腕で下から強烈におっつけると、隆の勝の体がフワッと浮く。左ののど輪押しで完全にのけ反らせ、最後は左肩をぶつけるように押し出した。

出番前には、東の支度部屋の出入り口の扉にはめこんである、ガラスが割れるアクシデントがあった。「令和初のガラス割れで、自分も令和初の動揺があって。それで、最初に決めていた立ち合いの考えが変わったり、いろいろしたけど良かった」と、この日もジョークをかました。勝ち越しも見え、さらなる星の上乗せで返り咲きを目指す幕内も、余裕をもって番付を上げられる。「早く勝ち越しを決めて、このまま積み重ねたいね」。勝ち越し、2ケタ、あわよくばの十両優勝も視界に入った。