阿炎が栃ノ心撃破「デカく見えたから」直感冴えた

栃ノ心(右)を叩き込みで下す阿炎(撮影・中島郁夫)

<大相撲夏場所>◇11日目◇22日◇東京・両国国技館

西前頭4枚目阿炎(25=錣山)の直感がさえた。大関返り咲きとなる2桁白星へあと1勝としている関脇栃ノ心をはたき込みで破った。7勝4敗として、来場所「令和」初の新三役も射程圏。前日10日目の横綱鶴竜戦よりも「緊張した」と話しながら、機敏な動きを披露して勝ち越しへあと1勝とした。

今場所、阿炎は決めていた。「土俵に上がって相手がデカく見えたら横から攻める、小さく見えたらまっすぐいく」。持ち前の回転の速い突っ張りを生かし、白星を先行させている今場所は、あまり相手が小さく見えることがなかった。しかし、この日の相手は明らかに鼻息が荒い。大関復帰へあと1勝としている栃ノ心の気合が、存分に伝わってきた。「調子がいいとデカく見えないんですけど、今日は本当にデカく見えたんです」。勘は当たった。もろ手突きから左に逃れてはたき。栃ノ心は前のめりのまま土俵外へ去っていった。「勘がさえている感じがあるんです」とニヤリ。危険は察知できている。

昨年初場所の新入幕から、幕内上位で勝ち越したことはない。12日目の相手は大関高安だが、早々に決めたいところ。角界のムードメーカーは「好調の理由? 笑顔ですよね」とちゃめっ気たっぷり。直近2場所は後半戦にめっぽう強い。笑う門には福来たるの精神でひた走る。