朝乃山の勝因は左上手の早さ/大ちゃん大分析

支度部屋で報道陣の質問に笑顔で答える朝乃山(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇13日目◇24日◇東京・両国国技館

西前頭8枚目の朝乃山(25=高砂)が再び優勝争いの単独トップに立った。優勝を争う関脇栃ノ心との直接対決で、1度は相手に軍配が上がったが物言いがつき、6分近くの異例の長さの協議に発展。行司軍配差し違えで11勝目をつかんだ。物議を醸す判定に救われた形となった。

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最後は微妙な勝負になったが、朝乃山の勝因は左上手を取る早さにあった。早いばかりか栃ノ心には与えないまま右を差して、のけ反らせた。今場所貫いている前への姿勢が、終盤戦の大事な一番でも出せた。普段はノホホンとした穏やかな性格だが、その精神力は褒めたい。ただし、あの体勢になったのだから、そのまま寄り切らなければダメだ。早く取れた上手の引きつけが甘いから、うまく回り込まれて詰めを欠いた。そこはまだ勉強の余地がある。以前にも評論したが、春巡業の栃ノ心との稽古で早く上手を取ることを学んだ。今場所は、それを実践する勉強の場と思えばいい。そう思えれば負けても、悔しがるだけでなく「なぜ負けたんだ」と振り返ることができ成長の糧になる。13日目を終えて単独トップ。師匠としては結果はどうあれ、いい夢を見させてもらっている。残り2番も攻めの姿勢で取ればいい。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)