阿炎ミラクル3連勝 清掃活動で「心清めたから」

阿炎(左)は栃ノ心がまげをつかんだため、反則勝ち

<大相撲秋場所>◇4日目◇11日◇東京・両国国技館

小結阿炎(25=錣山)が“ミラクル”3連勝を飾った。大関栃ノ心に突き落とされたが、相手の左手がまげにかかっており反則で勝った。

2日目は横綱白鵬に不戦勝、3日目は前頭大栄翔に物言いの末に辛勝。7月の名古屋場所は新三役で勝ち越しも、貴景勝が大関から関脇陥落で小結に据え置き。不運から一転、運を味方に幕内では唯一の年間全場所勝ち越しを目指す。

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負けたと思っていた阿炎は目を白黒させた。栃ノ心に突き落とされ、土俵に戻ると審判の親方衆が協議を始めた。「なんで?」。理解できず、こっそりと呼び出しに聞き、栃ノ心の左手がまげにかかっているかどうかの協議だと知った。そして行司軍配差し違えで勝ち名乗り。しっかりと懸賞12本を受け取った。「全然気付かなかった。負けたと思っていた。ツイてる。調子がいいから運も味方した」と、笑顔で話した。

3日連続で幸運な白星が舞い込んだ。初日こそ敗れたが、2日目は白鵬休場で不戦勝。本来なら東小結は西横綱と初日に対戦することが多いが、今場所は珍しくその慣例が崩れていた。3日目の大栄翔戦も押し込まれて土俵を割り、内容では負け。物言いもついた。それでも左足1本俵に残っていたため勝ちを拾った。

「日ごろの行いですね」と自ら切り出した。8月末に神奈川・江ノ島海岸で清掃活動したことを急に明かした。「ボランティアで心を清めたからですね。オレ、一番ゴミ拾ったもん」。ドヤ顔が止まらなかった。

先場所までの今年4場所全て、幕内で勝ち越しているのは阿炎と大関高安だけだが、けがで休場している高安は、今場所で途切れる見込み。年間白星も横綱鶴竜の41勝に次ぐ39勝だ。今場所は関脇昇進が見送られたが「実力が足りないから」。不運にもめげない今年の陰の主役に、女神がほほ笑み始めた。【高田文太】