大喜鵬が引退 黒星喫すも「楽しかった」と晴れやか

現役最後の取組を終え、花束を手に花道を歩く大喜鵬(撮影・加藤諒)

日本相撲協会は秋場所千秋楽の22日、元前頭で東三段目89枚目大喜鵬(30=宮城野)の現役引退を発表した。

今後は協会に残らずに人材派遣会社に就職する予定で、並行して部屋のサポートも行う。この日、現役最後の取組を終えた大喜鵬は、黒星こそ喫したものの「良かった。久しぶりにまわしを切ったし楽しかった」と晴れやかな表情で話した。

横綱白鵬の内弟子として入門した大喜鵬は、12年春場所に「山口」のしこ名で幕下15枚目付け出しでデビューした。同年秋場所で新十両、13年夏場所で新入幕を果たしたがその後は膝の負傷やバセドー病などに苦しみ、番付も降下。今年の3月、腰に違和感を覚えたため病院で検査を受けると「後縦靱帯(じんたい)骨化症」と診断された。満足に相撲も取れず、悪化すると日常生活に支障を来す可能性があるため、師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)と白鵬に相談。現役引退の意向を伝えた。「稽古をしたくてもできない。頑張れない自分がイヤになった。横綱よりも先に…という気持ちはあるが家族にも迷惑を掛けられなかった」と話した。

現役時代、最も印象に残る思い出は、13年初場所の幕内での取組で小さい頃から憧れていた元大関雅山(現二子山親方)から白星を挙げたこと。第2の人生に向けて「部屋の手伝いもしながら自分も自分の仕事でしっかり働けるようにしたい」と話した。