大相撲の元横綱稀勢の里の荒磯親方が、新時代の到来を予感した。5日、都内の田子ノ浦部屋に出稽古に来た新関脇朝乃山と三番稽古を行い、17番取って16勝1敗と寄せ付けなかった。

けんか四つの朝乃山に対して、強烈な左のおっつけで体勢を崩して差し手争いを制するなど、つけいる隙を与えず。左を差される場面が数回あったがすぐに巻き替えして左を差したり、土俵際に追い込まれても送り出しやすくい投げをするなど、多彩な攻めで圧倒した。稽古終盤になると息が上がる朝乃山に対して、涼しい表情を見せるなど、1年前に現役を引退したとは思えないほどのスタミナも見せつけた。

稽古後には「力いっぱい。精いっぱいです」と言いながらも笑顔。朝乃山との稽古を振り返り「右を差す力が強い。それをみんな殺しにくるからね。本場所のためにあえて厳しくいった」と狙いを明かした。

朝乃山の相撲については「まだ当たった瞬間に（朝乃山の）右が緩い。上位はそういう所しか狙っていない。そこを固めればガラリと変わると思う」と話した。

稽古終盤での体力の差についても「そこなんですよ。もっと（相撲の）形にこだわっていければね。形と馬力が課題。そこがつけば大関になれるし、上を目指せる」と話した。稽古では圧倒し、複数の課題を挙げながらも、力は認めている。「いい力士。今年が楽しみだね。朝乃山の時代が来ると思う。期待しましょう。朝乃山に」と目を細めた。