高田川親方らが感染、夏場所まで1カ月雲行き怪しく

高田川親方(左)と十両白鷹山

日本相撲協会は25日、高田川親方(53=元関脇安芸乃島)と弟子の十両白鷹山(25=高田川)、幕下以下の力士4人の計6人が、新型コロナウイルスに感染したと発表した。幕下以下の力士については個人情報保護の観点で部屋名などを公表していない。

親方や十両以上の関取の感染確認は初で、角界での感染者は合計7人となった。27日の夏場所の番付発表は予定通りに行うが、2週間延期し5月24日を初日とした夏場所(両国国技館)開催の雲行きは、さらに怪しくなってきた。

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角界でも感染が拡大しつつある。日本相撲協会は、協会員6人の新型コロナウイルス感染を発表。10日に幕下以下の力士1人の感染が初めて判明したが、親方と関取の感染は初めて。高田川親方は今週に入り発熱症状があったため、23日に都内の病院でPCR検査を受けた。同日に入院し、24日に陽性反応が出た。白鷹山は発熱などの症状はなかったが、24日に同検査を受け、陽性反応が出た。25日に入院した。

幕下以下の力士4人にも発熱症状などがあったといい、PCR検査で陽性が確認されて現在は入院中。協会は個人情報保護の観点から、幕下以下については、名前や部屋名は公表していない。そのため、高田川部屋以外の部屋で感染者が出たかは、現時点では不明だが、感染が角界でも拡大しつつある。この発表を受け、電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「入院しているから全く連絡が取れていない」と、高田川親方や白鷹山の直近の行動は把握できていないと話した。

陽性が判明した者の所属部屋は、今後2週間は稽古や外出を禁止とし、部屋の消毒や体温管理などを徹底するという。一方で、八角理事長(元横綱北勝海)は各部屋に、接触を伴わない稽古については、継続するよう通達した。芝田山広報部長は「買い物はなるべく少人数でとりまとめて、レベルを上げた予防策を実施して欲しいとのことだった」と八角理事長からの感染拡大防止の指示についても、明かした。

協会は3日に臨時理事会を開き、夏場所の2週間延期を決定した。状況次第で無観客開催や中止を検討するとの姿勢。以降、力士らの外出を原則的に禁止にしたり、相撲を取るなど接触を伴う稽古の自粛、日々の検温実施や体調管理の徹底などを指示してきた。夏場所開催に向け、感染拡大防止に努め、踏ん張り続けてきた中での、複数人の感染判明となった。

27日の夏場所番付発表は予定通りに行う。本場所開催について、芝田山広報部長は「開催について何も決定していないが、専門家の意見を踏まえつつ慎重に検討したい」と話した。初日まで約1カ月あるとはいえ、予断を許さない状況は続く。

◆高田川部屋 元大関前の山が74年3月に引退し、年寄「高田川」を襲名。同年4月に高砂部屋から独立した。歴代最多16個の金星を獲得した元関脇安芸乃島が03年夏場所後に引退。年寄「藤島」を経て、千田川親方として部屋付き親方だった09年8月に名跡を交換し、年寄「高田川」を襲名して高田川部屋を継承、現在に至る。現在の所属力士は幕内の竜電と輝、十両の白鷹山、幕下以下19人、3月の春場所の新弟子検査で合格した2人の計24人。他に立行司の第41代式守伊之助を含めた行司2人、床山1人、若者頭1人が所属。高田川親方を含めて合計29人の協会員が所属している。東京・江東区の清澄白河に部屋がある。

<新型コロナウイルスに対するこれまでの角界の主な動き>

▽2月25日 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、日本相撲協会が春場所開催について協議。「通常開催」「無観客開催」「中止」の3つの選択肢の中から話し合いが進む。

▽3月1日 協会が臨時理事会を開き、春場所の史上初の無観客開催を決定。協会員から感染者が1人でも出た場合、場所中でも即時中止することも決める。

▽6日 協会が春巡業(3月下旬~4月下旬)の来年4月への延期を発表。

▽8日 エディオンアリーナ大阪で春場所初日を迎える。

▽15日 同8日目に西前頭15枚目の千代丸が39度7分の発熱で休場。

▽16日 同9日目に千代丸が力士として初のPCR検査を受ける。

▽17日 同10日目に協会が千代丸の新型コロナウイルス陰性を発表。

▽22日 協会員の感染者がゼロのまま千秋楽を迎える。

▽4月3日 協会が臨時理事会を開き夏場所、名古屋場所開催の2週間延期を決定。各師匠には出稽古の禁止を通達。

▽4~8日 幕下以下の力士1人が発熱。1度下がるが、再び高熱を出す。

▽8日 幕下以下の力士が、新型コロナウイルス感染確認の簡易的な検査を受ける。病院側から協会に「陽性」と連絡が入る。

▽9日 8日に「陽性」と診断された幕下以下の力士について、病院側から「陰性」と訂正の連絡が入り、再び検査を受ける。協会は力士ら協会員の外出を原則的に禁止にする。

▽10日 再検査を受けた結果、幕下以下の力士が「陽性」と判明。角界で陽性反応を示したのは初。

▽13日 協会が各部屋に接触を伴うぶつかり稽古などの自粛を要請。

▽15日 28日に予定していた十両以上の関取衆が参加する力士会が取りやめとなる。

▽17日 28日実施予定だった夏場所の新弟子検査の延期が決定。

▽21日 協会は新型コロナ感染防止のため、これまで国技館で受け渡ししていた夏場所の番付表を印刷所から各部屋へ直接配送すると発表。

▽23日 高田川親方がPCR検査を受け、都内の病院に入院。

▽24日 高田川親方のPCR検査の結果が「陽性」と判明。弟子の十両白鷹山もPCR検査を受けて「陽性」が確認される。

▽25日 白鷹山が入院。他に幕下以下の力士4人がPCR検査で「陽性」と判明。協会の八角理事長(元横綱北勝海)が、接触を伴わない稽古の継続を通達。