日本相撲協会は13日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、大相撲7月場所(19日初日、両国国技館)の開催を正式決定し、観客を入れて実施することを発表した。
当初は無観客開催を検討していたが、新型コロナウイルス感染対応のガイドラインの作成や、専門家のアドバイスを受けるなど徹底した感染予防策を制定。1日当たりの総観客数を約2500人に制限して開催することとなった。本場所開催は無観客開催となった3月の春場所以来4カ月ぶりで、観客を入れて実施するのは1月の初場所以来6カ月ぶりとなる。
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一足早く、ファンに直接、大相撲を披露することになった。相撲協会は7月場所を観客を入れて開催する決断を下した。同場所の開催地を通常の名古屋から東京への変更を発表した5月4日の理事会では、無観客開催を想定。観客を入れるのは9月の秋場所から、という見方をする協会幹部もいた中で、当初の方針の変更に踏み切った。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、5月の夏場所は中止となった。以降協会は、各部屋に外出自粛や出稽古禁止などを通達。希望する協会員を対象に、感染歴を調べる抗体検査を実施するなど感染予防に努めてきた。さらに専門家の助言を踏まえたガイドラインを作成。臨時理事会後に行った年寄総会で、全親方に内容を伝えるなど徹底した感染予防策を敷いてきたことが、観客を入れて開催することにつながった。
春場所以来4カ月ぶりの本場所開催に、八角理事長(元横綱北勝海)は「力士たちは4月から約3カ月半、厳しい外出規制や感染予防策を忠実に守り、7月場所に備えてきました。大相撲ファンの皆さまのご期待に沿った、迫力ある土俵をお見せできることと存じます」とコメント。春場所後に大関昇進を果たした朝乃山も「より一層気持ちも高まる。見に来てくださる方はコロナに気をつけて応援に来てほしい。この地位では初めての場所なのでしっかり準備して期待に応えたい」と言葉に力を込めた。
徹底した感染予防策を敷いて観客を迎え入れる。1日あたりの総観客数は、国技館の定員約1万1000人の4分の1にあたる約2500人に設定。通常4人座れる升席を1人ずつの利用にするなどして密を避ける。力士らにも支度部屋でのマスク着用を義務づけるなど、さまざまな感染防止策を実施する。
待望の観客が入った本場所となるが、ぶつかり稽古の自粛や出稽古禁止の状況下、調整に苦しむ力士は多い。玉ノ井親方(元大関栃東)は「休場明けで関取衆と1度も稽古せずに臨むのと同じ感覚。誰もが不安だろう」と懸念する。しかし、土俵に上がる以上は言い訳はできない。力士にとって地力が試される異例の場所となる。【佐々木隆史】
<開催方式の変更>
・1日当たりの総観客数を約2500人と縮小(通常は約1万1000人)
・すべての4人マス席を1名ずつで利用
・イス席は横に3席空け、前後は互い違いにする
・タマリ席(維持員席含む)はなし
・通路側のマスは不使用
・接触を伴うファンサービスを中止
・アルコール類の販売中止。食事の販売も最小限
・観戦後は時間差退場
・初日前日の土俵祭りは無観客開催。力士の参加もなし
・密になる可能性がある関連イベントは中止
・開場時間を13時に変更
<入場客への観戦予防策>
・マスク着用、入場時の手指消毒を義務付け
・声援自粛、拍手推奨
・入場時に検温し、37・5度以上の場合は入場を断る
・もぎりでの取組表と消毒液は、入場客自身が取る
・全員にミニ消毒液を配布
・飲酒禁止
・感染者が発生した場合に備え、入場券半券の14日間保管や接触確認アプリへの登録を促進
<協会員への主な感染予防策>
・支度部屋でもマスクを着用。準備運動時も
・支度部屋ではアクリル板で各関取の間を仕切る
・支度部屋での滞在時間を短くするため髪結いは部屋で極力行う
・花道奥では足元シールを張り密集を避ける
・取組を行う力士は支度部屋を出たらマスクを外し、取組後は支度部屋に入る際に新しいマスクをつける
・相撲教習所を十両の支度部屋とし、幕内、十両、付け人による密集を防ぐ
◆日程 ▽14日 御免札立て▽17日 取組編成会議▽18日 土俵祭(役員、審判部のみの出席で非公開)▽19日(初日)新序出世披露(春場所で披露できなかった者が対象)▽26日(8日目)新序出世披露(7月場所新弟子検査合格者)※通常、初日2日前に行う宿禰神社例祭は中止、初日前日の優勝額贈呈式は延期