照ノ富士足踏みも審判長「負けても可能性」Vへ優位

正代(右)は寄り切りで照ノ富士を破る(撮影・小沢裕)

<大相撲7月場所>◇14日目◇1日◇東京・両国国技館

1敗でトップだった大関経験者の照ノ富士は、結果的に勝てば優勝が決まっていた一番を落とした。

立ち合いで左前みつを取ったが正代にもろ差しを許すと、引き落とされるようなかたちで体勢を崩された。立て直すことができないまま再びもろ差しを許して土俵を割った。結びで同部屋の照強が朝乃山を破る“援護射撃”があったが、15年夏場所以来の優勝へ足踏みする結果となった。

一方で単独トップの状況は変わらず、千秋楽で勝てばその時点で2度目の優勝が決まる。幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)も「(優勝に近いのは)それは照ノ富士。負けても可能性がある」と、優位な立場にあると強調した。

取組後はショックを隠せないためか、千秋楽に向けて集中力を高めるためか、リモート取材に応じず国技館を引き揚げた。千秋楽の相手は3敗の関脇御嶽海。大関時代は4勝2敗だが、前回の対戦は17年夏場所で、3年ぶりに顔を合わせる。両膝の負傷や糖尿病、肝炎を乗り越え、序二段からはい上がって迎えた14場所ぶりの幕内。混戦を制して、史上最大の復活劇を成し遂げる。【佐藤礼征】