<大相撲春場所>◇7日目◇19日◇エディオンアリーナ大阪
新関脇の若隆景(27=荒汐)が、15年ぶりの大技を決めた。東前頭筆頭の大栄翔を「送りつり落とし」で下して6勝目。07年秋場所12日目に安馬(のち横綱日馬富士)が豪栄道に決めて以来4度目という珍しい決まり手だった。大関候補の1人として注目を集める中で、2桁白星に向けて視界良好。1敗をキープし、勝ちっ放しの高安を1差で追う。新大関の御嶽海、琴ノ若も1敗を守った。
幕内では大柄とはいえない181センチ、130キロの体で、若隆景は相手を一瞬宙に浮かせた。下からのおっつけやいなしで大栄翔の突きを逃れて、土俵際で密着。背後に回り込んで、右で縦みつを取り、162キロの相手を持ち上げた。豪快にたたきつけると、約5000人の観客も拍手喝采だった。
27歳の新関脇は「いつも通り下からという意識だった」と顔色を変えないが、15年ぶりに飛び出した大技だった。取組直後にアナウンスされた決まり手「送りつり落とし」は、相手の後ろに回り、つり上げて土俵に落とす技。01年初場所から追加された12の決まり手のうちの1つで、幕内では4度しか出ていない。
同決まり手が最後に出たのは、15年前の安馬-豪栄道戦だった。当時の若隆景は中学1年生で12歳。すでに相撲に熱中しており、映像も見たことがあったという。「(その取組の)印象が強いわけじゃない」とクールだったが、ファンを大いに楽しませた。
大関とりの足がかりとなる2桁白星まで、あと4勝。「明日からも1日一番、一生懸命集中して取りたい」。多くを語らず、目の前の白星を積み重ねる。【佐藤礼征】
◆過去の送りつり落とし 幕内初は01年初場所9日目で、旭鷲山が浜ノ嶋に決めた。2度目は04年夏場所9日目で、当時新入幕の白鵬が豪風に。3度目は逆に小結安馬が新入幕の豪栄道に決めた。優勝争いのトップに立っていたホープを下した安馬は当時「上に勝つのは難しいんだと意地を見せたかった」と胸を張った。