入幕から101場所目、高安悲願の初優勝へ単独トップ 史上3位スロー記録、14日目にも達成へ

高安は貴景勝(下)を上手投げで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇13日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

悲願の初優勝に向けて、東前頭7枚目高安(32=田子ノ浦)が単独トップに立った。大関貴景勝を上手投げで破って12勝目。1つ前の取組で並走していた新関脇若隆景が2敗に後退した。14日目に大関正代に勝ち、若隆景が負ければ初優勝が決まる。新入幕から苦節101場所目で、多くの苦楽を経験してきた実力者がついに賜杯を手にする時がきた。

【大相撲春場所】全取組結果

土俵下の控えで、高安は目をつむって集中力を高めた。自身の目の前で、並走していた若隆景が2敗に後退。勝てば単独トップ。重くのしかかろうとする重圧をはね返すように、気合を入れて土俵に上がった。

貴景勝の猛攻を一身に受けた。強烈な突きや押し、体当たりを何度もくらったが引かず。横に動いてかわし、いなして大関の体勢を崩した。ようやく左を差し込んで勝負あり。右上手を取って、体力切れの貴景勝を軽々と転がした。「自分の相撲に集中しようと思っていました。再三、突き放されたけど何とか残って気持ちで取りました」。大関経験者の意地と実力が現大関に勝った。

14日目にも悲願の初優勝の可能性が出てきた。中卒たたき上げの高安は、05年春場所が初土俵。今場所が101場所目となり、初優勝ならば優勝制度ができた1909年(明42)以降では歴代3位のスロー記録となる。年齢も32歳と決して若くないが、師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は「10代、20代なら分かるけど、今になって体がまた大きくなった」と好調の要因を語る。一時は170キロ中盤だった体重が、この1年で大関時代と同じ183キロまで増加。腰に重みが増し、取り口に安定感が増した。

今年も田子ノ浦部屋の宿舎は、兵庫の園田競馬場内に設けている。同競馬場の利用客が間違って宿舎の敷地内に入ってこないように、入り口にはガードマンを配置するなどして本場所に集中できる環境が整っている。14日目は大関3連戦目となる正代と対戦。ここまで2大関撃破と勢いに乗り「連日と変わらず、リラックスしてまた明日に気持ちを集中させていきたい」と淡々と口にした。「今まで優勝目指してやってきたのでその積み重ねだと思う」と満を持して賜杯を手にする。【佐々木隆史】

◆平幕力士による優勝 優勝制度ができた1909年(明42)以降、過去に33人おり、直近では21年初場所での西前頭筆頭の大栄翔が最後。また、大関から陥落して平幕力士として優勝したのは、76年秋場所の西前頭4枚目魁傑と20年7月場所の東前頭17枚目照ノ富士の2人だけ。