<大相撲初場所>◇初日◇8日◇東京・両国国技館
「1人大関」のプライドを持って好発進した。横綱照ノ富士の休場で番付上、最上位の大関貴景勝(26=常盤山)が新小結若元春を突き落としからの押し出しで初日を飾った。
「ま、集中してやろうと思いました。(番付最上位は)それは環境なんで。自分は目の前の一番だけやろうと思っています」
淡々と振り返ったが、硬さはあった。ただ、がむしゃらに前に出るだけでなく、相手の動きを見ながら冷静に攻め抜いた。場所前に「押し切れない時にどうするか。そこは考えながらやっている」と話していた。言葉通り、新たな取組のスタイルでもあった。
突き押しが不発に終わると引かれたり、はたかれたりでばったりの相撲もあった。そこを意識しての改善。本来の立ち合いからの圧力を強めながら、横綱を意識して「負けない相撲」にも取り組んできた。
協会の看板を1人で背負う。先場所は12勝3敗で優勝決定ともえ戦に進出も、優勝は逃した。ただ、優勝同点で今場所、高いレベルの優勝で「綱とり」の声もあがる。貴景勝は「自分が成績を残さないといけない」と強い責任感を示し、横綱に向けて「横綱になりたいというのは小さいころからの夢。相撲人生において何回もチャンスはない。気合で相撲をとりたい」となみなみならぬ意欲を隠さない。
昨年は6場所すべて違う力士が優勝を飾った。「番付社会」が絶対の相撲界が、変革の時を迎えている。その中でただ1人、「大関」の看板を背負う者として頂点に力強く君臨しなければならない。その意識は強く持っている。
今場所は休場をしない限り15日間、結びを務める。「(観客が)見に来てよかったと、思えるようにしたい」。だれが優勝してもおかしくない戦国場所。その中で1人大関が、強い存在感を示していく。【実藤健一】