綱とり貴景勝が竜電下し2敗守る、白星先行で中盤戦へ 前日阿炎に敗れるも意地見せる

竜電(右)を押し出しで破る貴景勝(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇5日目◇16日◇エディオンアリーナ大阪

綱とりに挑む大関貴景勝(26=常盤山)が、竜電(高田川)を押し出し、2敗を守った。序盤戦を3勝2敗で終え、再び白星先行で中盤戦に臨む。

貴景勝は初日に小結翔猿に敗れたが、2日目に玉鷲に快勝。星を五分に戻し、3日目に大関経験者の正代を撃破し2連勝。ただ、正代戦後の花道に引き揚げる際には左脚を引きずるような姿を見せた。4日目の阿炎戦では左膝にテーピングを巻いて出場するも、阿炎のいなしについていけず土俵を割り手痛い2敗目を喫した。綱とりへ暗雲がたれこめる中で意地を見せた。

横綱昇進には「2場所連続優勝もしくは、それに準ずる成績」という横綱審議委員会の内規があり、2場所連続優勝なら場所後の横綱昇進は濃厚という状況。

年6場所制が定着した1958年(昭33)以降で横綱昇進したのは29人。綱とり場所で5日目終了時点で2敗を許した力士は朝汐(のちの3代目朝潮)のみ。朝汐は5日目に2敗目を喫した後、そこから負けなしの10連勝。13勝2敗で優勝次点で場所を終え、綱とりを成功した。

場所前の会見で貴景勝は「ここで後悔するようなことだったら、もう一生忘れないと思う。それだけはしたくない」と強い決意をにじませていた。自身の夢に向かって、白星を積み重ねるしかない。