元逸ノ城引退に涙した湊部屋行司の木村元基「意味のある第2の人生を」別れ惜しみ、エール送る

行司の木村元基(2022年11月撮影)

大相撲の幕内格行司、木村元基(54)が、今月4日に引退した同じ湊部屋所属だった最高位関脇の元逸ノ城、三浦駿さん(30)との別れを惜しんだ。10日、都内で三浦さんについて語った。

三浦さんが引退を決断したのは、引退届を提出する2日前の今月2日。師匠の湊親方(元前頭湊富士)夫妻と三浦さんの話し合いの末に決まると、元基は涙を流した。その時のことを振り返り「大人げないといいますか、お恥ずかしいです」と、静かに話した。続けて「逸ノ城に限らず、同じ部屋にいた人が辞める時は、やっぱりさみしいです」と、しんみりと話した。

「逸ノ城のおかげで、いろんな経験をさせてもらいました。部屋として初めての幕内優勝もそう。同じ時間、いろんな時間を共有してきただけに、次の人生も頑張ってほしいです」と、エールを送った。逸ノ城は191センチの長身もさることながら、関取衆最重量の219キロだった。元基は「あの体ですからね。普通に生活するのも一苦労。ましてや腰痛もあるし。これまでは稽古をしていたから、体重増加に歯止めがかかっていましたが、運動をしなくなったらどうなるか。腰痛が悪化するかもしれないし、本当に健康には気を付けてほしいです」と、親のように気にかけていた。

「この先、日本に残って生活するのか(出身の)モンゴルに戻るのか。相撲界に残らなくても、日本とモンゴルとの架け橋として活躍した先輩力士も多い。そういう人を見習って、逸ノ城にも何か相撲をやっていたことや、日本に来たことに意味のある第2の人生を歩んでほしい。まだまだ、これからの人生の方が長い。彼のこの先の成功を願っています」。

豪快な取り口はもちろん、大きな体と、ぼくとつとした話し方、少し照れたような笑い方などで、多くのファンに愛された「怪物・逸ノ城」。電撃引退に、気持ちの整理がつかないのは、ファンだけではなく、身近で関わってきた湊部屋関係者も同じなのかもしれない。【高田文太】