照ノ富士、横綱が復帰場所で優勝なら3人目「あと2日間しっかり頑張る」平常心を貫き霧馬山戦へ

照ノ富士は朝乃山(手前)を小手投げで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇13日目◇26日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)が、3場所連続全休からの復活Vに王手をかけた。1差で追う元大関の平幕朝乃山を小手投げで退け、1敗を守った。14日目の結びで2敗の関脇霧馬山に勝利すれば、千秋楽を残して6場所ぶり8度目の優勝が決まる。

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照ノ富士が貴重な1勝を手にした。低く当たって左を差しにきた朝乃山の攻めにも動じず、右の小手で振って豪快に仕留めた。過去5戦全勝と合口の良い相手にも「土俵に上がったら、いつ、何が起こるか分からないので」と警戒を怠らず、貫禄のある相撲で館内を沸かせた。意図した展開に「落ち着いてやれたかな」と振り返った。

ここまで終始、冷静な取り口が光る。誰が相手でも関係ない。「勝っても、負けても自分のやるべきことを精いっぱいやるだけ」。場所中、事あるごとに口にしてきたことを体現した。「ここまでは悪くない」と手ごたえを感じている。

昨年9月の秋場所で途中休場。翌10月に両膝の手術を受けた。再起へ懸命なリハビリを行い、復帰に向けて準備してきた。今場所は初日から負けなしの8連勝でストレート給金を達成。9日目に明生に金星を配給したが「引きずってもしょうがない」とすぐに気持ちを切り替えた。12日目に若元春を退け、8日目以来、今場所2度目の単独トップに立った。そして迎えた大一番で、朝乃山を物ともせず12勝目。22年夏場所以来の優勝へ大きく前進した。

横綱が3場所以上続けて全休したのは昭和以降で過去に14例。その中で復帰場所で優勝したのは、1968年秋場所の大鵬と89年初場所での北勝海の2人だけと数少ない。「最後まで優勝に絡まないといけない」と横綱としての強い覚悟を見せる照ノ富士。14日目に関脇霧馬山戦で勝てば優勝が決まる状況だが、「あと2日間しっかり頑張ります」。自らに言い聞かせるかのように、平常心を貫いている。【平山連】