大相撲で富山市出身の大関経験者、西前頭7枚目の朝乃山(29=高砂)が、元日に起きた能登半島地震の被災者を勇気づける、2桁白星と優勝争いを誓った。初場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けて12日、都内の部屋で基礎運動などで調整。同場所で使う予定の紫色の締め込みを着け、動きの確認なども行った。
朝乃山の実家や、能登半島に近い富山・氷見市の祖母はすでに日常を取り戻しつつある。それでも「元日から悲しいニュースがあって、今場所、北陸出身力士は、よりいっそう力が入ると思う。一人一人が頑張れば、元気や勇気を与えられると思う。自分も2桁勝って、優勝争いに加われるように頑張りたい」と、白星を重ねる決意を口にした。富山市の実家には、500ミリリットルの水が30本入った箱を10箱送った。
昨年11月の九州場所は、直前に左ふくらはぎを痛めて7日目まで休場した。その前の同9月の秋場所も直前に右脚親指を痛め、万全ではなかった。さらにさかのぼれば、同7月の名古屋場所は左上腕二頭筋部分断裂で、途中4日間休場。3場所連続でけがに苦しめられてきた。直近の左ふくらはぎ痛の影響で、昨年末までは稽古を十分できていなかったが、年明けからは急ピッチで仕上げてきた。
新年最初の出稽古先として選んだ二所ノ関部屋では、初場所で新入幕の大の里に1勝3敗だった。その日の稽古後は「見ての通りです。ボロ負けでした。圧力もあるし、体の寄せ方もうまい。強かった」と、完敗を認めていた。ただ、この日は「ショックというか、本当に悔しかった」と、本音を漏らした。雪辱のため、今場所前に茨城・阿見町の二所ノ関部屋に、再度出稽古に行こうと本気で考えていたが「日程が合わなかった」と明かし、悔しさの強さをうかがわせた。
その後、今場所前は時津風部屋に2度、出稽古したが「番数が必要だと思った」と、10、11日は高砂部屋で十両朝紅龍、幕下らと、2日連続で25番取った。初場所に向けて現在の状態は「悪くはない。けがなく迎えられてよかった」と、復調の自信をのぞかせた。初日の相手が、仲の良い同い年の前頭一山本に決まったと知ると「最近2場所は調子がいいですからね」と、相手にとって不足なしとばかりに不敵に笑った。
3月1日に30歳の誕生日を迎えるだけに、今場所は20代最後の本場所となる。節目を迎える年だけに「この1年が勝負」と力説。かつての番付の大関に、どこまで近づけるか、それとも一気に返り咲くのか。いずれにしても1年を占う初場所から、故郷への思いも背負って土俵に立つ決意だ。【高田文太】