<大相撲初場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館
3場所ぶり出場の横綱照ノ富士(32=伊勢ケ浜)が、復活優勝を果たした。本割で大関霧島、優勝決定戦で関脇琴ノ若を退けた。
強さとうまさが光った。照ノ富士は本割で145キロの霧島を軽々と持ち上げ、土俵下まで吹っ飛ばす豪快な攻めで2敗を守った。琴ノ若との優勝決定戦では左の小手で振って右を巻替え、後ずさりする相手を追いかけて素早く左も巻替えた。もろ差しとなっても集中を切らさず、土俵際でも冷静な攻めで寄り切った。柔と剛を使い分け4場所ぶりの優勝を飾り、「力を出し切れた」とうなずいた。
昨年は腰の骨の一部が折れるなどケガとの闘いの連続で、15日間皆勤できたのは夏場所だけ。温かく見守ってきた横綱審議委員会ですら、初場所が休場なら何らかのコメントを出すと方針を示していた。逆風の中で出場に踏み切った今場所。7日目までに平幕2人に敗れ、稽古不足や土俵勘が戻らないことへの不安を口にすることもあった。尻上がりに調子は良くなり8日目から連勝街道。師匠伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も「本場所が良い稽古になっている」と評するほど安定した戦いぶりを見せた。
照ノ富士は「決して稽古が十分にできていない中でも、日に日に体が動けるようになってきた」と振り返り、15日間戦い終えて見えた景色は「今までの場所では調整に失敗したりしたけれど、今場所ちょっとでもつかめた」と手応えを口にした。
13年春場所後、間垣部屋の閉鎖により伊勢ケ浜部屋に転籍した。関取衆との稽古に恵まれ、強くなった恩は忘れていない。関取になっても、おばけが怖くて同世代の若い衆の布団に潜り込んで眠りについたこともある。持病の膝は同じケガで苦しんできた兄弟子の安美錦(現安治川親方)に寄り添ってもらい、治療や稽古法の指南も受けて再起してきた。今は、横綱として部屋の底上げも担う立場を強く自覚している。
弟弟子のためにも-。新十両尊富士が快進撃を続ける元付け人の様子に触発され、優勝争いが過熱する終盤戦には「十両優勝と幕内優勝でオープンカーに乗る」と周囲に約束していたという。余計な緊張を与えないよう尊富士本人にはあえて伝えなかったが、将来の励みや糧となるようにと願った。旗手として同乗させ、誇らしげに大役を務める姿を隣でうれしそうに見守った。
優勝回数では部屋の兄弟子だった元横綱日馬富士に並び9回となったが、「そこじゃない」とピシャリ。常々目標に掲げている2桁優勝。年内の達成も現実味を帯びてきた。【平山連】