<大相撲名古屋場所>◇9日目◇22日◇ドルフィンズアリーナ
今場所も幕内下位からの“刺客”か。西前頭12枚目の美ノ海(ちゅらのうみ、31=木瀬)が千代翔馬を下手投げで平幕ただ1人の2敗を守り、勝ち越しに王手をかけた。
幕内5場所目だが、すべて前頭2桁の地位。全勝の横綱照ノ富士を追う2番手の存在だが、無欲で残り6日間に臨む。2敗勢は大関琴桜と2人だけとなった。
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支度部屋に戻った美ノ海は後ろを振り返ってギョッとした。「めちゃ人が多い!」。囲んで声を聞こうという記者がぞろぞろ。そんな“初体験”も動じない。「明日負けたらみなさん、いなくなりますから」と自虐的に笑いを誘った。
名門・日大相撲部の主将を務めたが、付け出し資格を得られず序ノ口からのし上がってきた。176センチ、143キロと小柄だが、相撲の技術は高い。この日も「立ち合いは最悪。0点でした」と千代翔馬に左差しから圧倒的に攻められた。しかし、何とか耐えて残し土俵際で執念の下手投げを決めた。「最後に右の前みつが取れたので。後は我慢してとれたかなという感じですね」と振り返った。
鳥取城北高の同期に元逸ノ城、先輩は今場所全勝で突っ走る照ノ富士がいる。初の夢に向かって先輩を追いかける立場だが「横綱は負けないんで関係ないです。僕が全勝で横綱が2敗なら考えますけど、強い方が全勝ですからね。全然、何も変わりはないです」。
7月場所は16年の序二段優勝を始め、負け越したのは過去2度だけ。沖縄出身で“夏男”か。「暑さに強いのか? 毎日聞かれますね」。泰然自若。独特の空気感が、何か起こしそうな期待感にもつながる。【実藤健一】