「大鵬の孫」王鵬3敗守った「頑張るだけなので気は楽」初優勝へ千秋楽で2敗の金峰山と直接対決

隆の勝(左)を攻める王鵬(撮影・鈴木正人)

<大相撲初場所>◇14日目◇25日◇東京・両国国技館

「昭和の大横綱」大鵬を祖父に持つ、西前頭3枚目の王鵬(24=大嶽)が、逆転優勝の可能性を残し、千秋楽に臨むことになった。4連勝中だった難敵の前頭隆の勝を、土俵際逆転の突き落とし。幕内で自己最多に並ぶ11勝目を挙げた。千秋楽は1差で追う2敗の単独トップで西前頭14枚目の金峰山(27=木瀬)と直接対決。本割で勝てば、3敗の大関豊昇龍(25=立浪)を含めた、最大3人による優勝決定戦に持ち込める。自力でつかむことが出来る初優勝のチャンスは十分に残っている。

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気持ちの強さが、最大の勝因だった。王鵬は立ち合いから前に出続けた。突き、押し、おっつけ。さらに小手に振って体勢を立て直そうとしたが、隆の勝の圧力に土俵際まで追い詰められた。それでもあきらめなかった。相手の右差しを振りほどきながら肩口を上から突き落とし。技術を超越した、がむしゃらな攻め、執念が実った。幕内では初めて千秋楽まで優勝を争うことが決まった。

「前に出て、いい相撲を取りたかった。でも体の調子がいい証拠だと思う」。もはや内容は関係ない。無我夢中で動き、それが白星につながっていることが、血となり肉となっている。

「大鵬の孫」。必ずついてまわる枕ことばだ。初土俵以来、さかのぼれば埼玉栄高などのアマチュア時代から、常に周囲から期待されてきた。過熱する期待に押しつぶされるように、初めて幕内で優勝を争った22年九州場所は失速。12日目を終えてトップの10勝も、13日目から3連敗で終え、優勝決定ともえ戦進出には星2つも足りなかった。だからこそ、この日は「こんな経験、めったにない。吹っ切れたらもったいない。この現状をかみしめて、楽しんでいけたら」と力説。優勝争いに気後れはない。

32度も優勝を積み上げた祖父も、何度もはね返された。幕内5度目の2桁白星を挙げた60年九州場所で初優勝。王鵬も今場所が、幕内で5度目の2桁白星だ。初優勝どころか三役も三賞も、わずかに逃し続けたが、初優勝を飾れば全てを一気に手にすることは間違いのない情勢。取組直後には、まだ千秋楽の対戦相手が決まっていなかったが、金峰山戦を予想したように語った。「(優勝争いの)中心は金峰山関だけど、それに近い形でやれている。勝たないと始まらない。頑張るだけなので気は楽」。王鵬は不敵に笑った。2人か3人による優勝決定戦を制し、賜杯を抱く姿しか想像していない。【高田文太】

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